退職が決まったけれど、取引先にどんなメッセージを送ればよいか悩んでいませんか?
長くお世話になった相手だからこそ、失礼のない言葉で感謝を伝えたい――そんな不安を抱える方は多いものです。
本記事では、取引先に送る退職メッセージの基本マナーや、感謝の気持ちが伝わる文例をわかりやすく紹介します。
「転職」「定年退職」などのシーン別に、すぐ使える例文も掲載。
初めての方でも安心して送れる、丁寧なメッセージの書き方を一緒に確認していきましょう。
取引先への退職メッセージの重要性
退職メッセージとは?
退職メッセージとは、退職する旨を相手に伝えるだけでなく、これまでの支援や協力への感謝、そして今後の関係性への配慮を込めたビジネス上の挨拶文です。社内向けの挨拶とは異なり、取引先に対する退職メッセージは、会社全体の印象にも影響を与えることがあります。
そのため、個人としての気持ちに加え、「ビジネス上の礼儀」としての視点を忘れず、丁寧かつ誠実な文面を意識することが大切です。
取引先への配慮がなぜ必要か
取引先は、自社の業務を支え、共にビジネスを進めてきたパートナーです。そんな相手に対して、突然の退職報告を一方的に行ったり、形式的に済ませてしまったりすると、不信感を与えることにもなりかねません。
逆に、心のこもった退職メッセージを送ることで、「最後まで信頼できる人だった」という印象を残すことができます。
さらに、後任者や会社に対する信頼感にもつながり、今後の取引継続においてもプラスの影響をもたらします。退職しても業界内で再び関わる可能性があることも考え、円満な関係を築いたまま離れるのが理想です。
退職時に気を付けるべき基本マナー
退職メッセージを取引先に送る際には、以下の基本マナーを守ることが信頼維持の鍵となります。
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一方的な連絡にならないよう配慮する
できる限り相手の立場を考え、「ご多忙中恐れ入りますが」といった配慮の言葉を添えることで、印象が大きく変わります。やりとりがあった取引先には個別のメッセージを送ると丁寧です。 -
誤解を招く表現を避ける
「会社に不満があって」「家庭の事情で」など曖昧またはネガティブな表現は避けるべきです。退職理由に踏み込む必要はありません。事実と感謝を淡々と伝えるだけで十分です。 -
社外機密や個人的な事情には触れない
社外の人間である取引先に、社内の詳細や個人の状況を過剰に伝えることはマナー違反となる場合があります。あくまで業務上の関係にふさわしい情報にとどめましょう。 -
感謝を主軸に文面を構成する
「おかげさまで多くのことを学ばせていただきました」「ご支援に心より感謝申し上げます」など、これまでの関係への感謝の気持ちをしっかりと盛り込むことが、好印象につながります。
取引先への退職メッセージの書き方
取引先に向けた退職メッセージは、礼儀と感謝の気持ちを伝える最後のビジネスコミュニケーションです。形式的なものにせず、あなたの誠意が伝わるように、構成や表現にも気を配りましょう。
一般的な構成と注意点
退職メッセージの構成には一定の型があります。以下の順序を意識して文面を作成すると、自然で丁寧な印象を与えることができます。
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件名または冒頭で「退職のご挨拶」と明記
メールや書面の件名には「退職のご挨拶」「ご報告」などと明記することで、相手にとって内容がすぐに把握できます。 -
冒頭の挨拶(時候の挨拶など)
「○○の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」など、ビジネス文書にふさわしい季節の挨拶を入れることで、丁寧な印象を与えます。 -
退職の報告と退職日
「〇月〇日をもって退職することとなりました」と、具体的な日付を入れて明確に伝えます。理由を細かく述べる必要はありません。 -
感謝の言葉
「本日まで大変お世話になり、心より御礼申し上げます」といった表現で、誠実な感謝の気持ちを伝えましょう。 -
後任者の紹介や今後の対応
「今後は後任の△△が担当させていただきます」など、業務の継続性に配慮した内容を入れておくと、相手にも安心感を与えます。 -
今後の連絡先(必要に応じて)
連絡を取りたいという意向がある場合のみ、個人のメールアドレスなどを記載しておくのも選択肢の一つです。 -
結びの挨拶
「貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます」など、相手の今後を祝福する形で締めくくるのが基本です。
文面の基本要素
退職メッセージで押さえておきたい要素は以下の通りです。
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丁寧な敬語
かしこまりすぎず、柔らかすぎず、ビジネスに適した丁寧語・尊敬語・謙譲語を使いましょう。 -
明確な日付
退職日を明記することで、業務の引き継ぎ時期を取引先が把握しやすくなります。 -
感謝と敬意
退職の報告以上に大切なのは、これまでの関係への感謝と相手への敬意をしっかり伝えることです。 -
簡潔さと温かみのある文章
形式にこだわりすぎて堅苦しくなりすぎないように、適度にやわらかい表現も交えましょう。長文になりすぎず、読みやすさも意識してください。
具体的な例文:転職の場合
拝啓 〇〇の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
私こと、このたび一身上の都合により、〇月〇日をもって株式会社〇〇を退職することとなりました。
本日まで、ひとかたならぬご厚情を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。
今後の業務につきましては、後任の△△が責任をもって引き継がせていただきますので、変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
略儀ながら、まずはメールにてご挨拶申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます。
敬具
解説ポイント:
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誰にでも使える汎用的な転職向け文面
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後任者への引き継ぎを明記して安心感を与える
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冒頭と結びに敬意ある表現を使用
具体的な例文:定年退職の場合
拝啓 春暖の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
私こと、〇月〇日をもちまして定年退職することとなりました。
在職中は、公私にわたり格別のご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。
今後の業務は後任の△△が担当させていただきますので、変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
末筆ながら、皆様のご健康と貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具
解説ポイント:
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長年の感謝が伝わるよう、やや重厚なトーンに
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「公私にわたり」など定年ならではの表現を活用
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後任者へのスムーズな引き継ぎを伝える
取引先に送る場合の返信メッセージ
退職の連絡を受けた際、取引先としてどう返信すべきか悩む方も多いかもしれません。相手との関係性や付き合いの深さに応じて、返信の要不要や文面のトーンを見極めることが大切です。
返信が必要なシチュエーション
以下のような場合には、返信をするのがビジネスマナーとして望ましいとされています。
■ 個別で丁寧なメッセージを受け取った場合
相手があなたの会社や個人宛てに、丁寧で気遣いのある文面を送ってきた場合には、短くても感謝の返信をするのが望ましいです。形式的な一斉送信とは異なり、個別の心遣いには誠意をもって応えることが、今後の信頼関係にもつながります。
■ 長年の付き合いがある場合
数年にわたり継続的な取引があったり、商談や打ち合わせで何度も関わったりしていた相手には、やはり一言でも返信があると印象が良くなります。特に業界内で再び顔を合わせる可能性がある場合は、円満な関係を保っておくのがベストです。
■ 今後も連絡を取りたい場合
相手がフリーランスや別の企業に移る場合など、将来的にまた仕事で関わる可能性がある場合には、今後の連絡手段の確認を含めた返信を送るのが有効です。次につながるきっかけとしても役立ちます。
親しくない相手への返信方法
それほど関係が深くない相手、あるいは一度だけ関わったことのある相手からの退職メッセージに対しては、形式を重視した簡潔な返信で十分です。
ポイントは、感謝と応援の気持ちを短く添えること。形式的な印象になりすぎないよう、最低限の温かみを意識すると印象が良くなります。
■ シンプルな返信例:
ご丁寧なご連絡をありがとうございました。
これまでのご尽力に感謝申し上げます。〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈りしております。
■ もう少し親しい場合の例:
ご丁寧なご挨拶をいただき、ありがとうございました。
長年にわたりお世話になり、心より感謝申し上げます。
新天地でのご活躍をお祈りするとともに、またどこかでご一緒できる機会がございましたら幸いです。
相手との距離感に応じて、形式と感情のバランスを調整することが大切です。迷ったときは、「簡潔で丁寧」を基本にすれば失礼になることはありません。
退職メッセージで伝えるべき言葉
退職メッセージは単なる報告ではなく、「お世話になったことへの感謝」と「今後の関係への配慮」を言葉にして届ける大切な節目です。ここでは、シーンごとにふさわしい表現と言い回しをご紹介します。
お礼の表現
感謝の言葉は、退職メッセージの中で最も重要な要素です。抽象的にならないよう、関係性やこれまでのやり取りを思い出しながら、自分の言葉で伝えることが理想です。
■ よく使われる基本表現
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「長年にわたるご支援に心より感謝申し上げます」
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「日々のご指導、誠にありがとうございました」
■ 少し表現を変えたい場合
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「在職中は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました」
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「貴社の皆様には常に温かいご支援をいただき、感謝の念に堪えません」
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「多くの学びと経験を得る機会をいただき、心より御礼申し上げます」
■ ポイント
単なる形式的な言い回しにならないよう、「何に対して感謝しているのか」を一言添えると、より心が伝わります。
今後の関係性を築くための言葉
たとえ退職して会社を離れるとしても、業界内で再び関わる可能性があるのがビジネスの世界。円満な印象を残すことは、自分自身の将来にもプラスになります。
■ よく使われる基本表現
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「今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます」
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「引き続き、〇〇社をよろしくお願い申し上げます」
■ より丁寧な印象を与える表現
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「今後とも弊社一同へのご指導ご鞭撻のほど、お願い申し上げます」
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「私の退職後も、変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」
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「今後とも変わらぬお付き合いをいただけますと幸いです」
■ ポイント
後任者や会社に対して信頼をつなぐ意図を明確に伝えることが、相手への安心感や好印象につながります。
相手への祝福や応援の言葉
自分の話ばかりで終わるのではなく、相手の今後を気遣うひと言を添えると、退職の挨拶として完成度が高まります。
■ 基本表現
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「皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます」
■ 応用的な表現
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「貴社のますますのご繁栄と、皆様のご健康をお祈り申し上げます」
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「貴社のさらなるご発展と、皆様のご活躍をお祈り申し上げます」
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「今後のご多幸とご健勝をお祈りいたします」
■ ポイント
やや改まった表現の方が、退職メッセージにはふさわしい印象を与えます。カジュアルな文体は避け、丁寧語や敬語を適切に使うよう心がけましょう。
退職メッセージは「お別れ」ではなく、「これまでの関係に感謝し、未来に敬意を込めて締めくくる」ものです。上記のような言葉を使うことで、より誠実で印象に残る一通となるでしょう。
メッセージの送信タイミング
退職メッセージの印象は、「いつ送るか」によっても大きく左右されます。内容がどれだけ丁寧でも、タイミングが遅ければ相手に不安や戸惑いを与えてしまう可能性もあります。業務の流れや相手との関係性を考慮し、適切なタイミングで送りましょう。
最終出社日の前後でのタイミング
退職メッセージを送るベストなタイミングは、最終出社日の3日前〜当日の午前中が理想的です。
■ 3日前〜前日までが適している理由:
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引き継ぎなどで相手が準備しやすい
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業務的なやりとりが残っている場合も、スムーズに対応できる
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返信のやり取りがある場合にも余裕を持って進められる
■ 当日午前中に送る場合の注意点:
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「本日が最終出社日です」と記載することで誤解を防げる
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午後以降は挨拶回りなどで相手が不在になることもあるため、早めに送るのがベター
■ NGなタイミング:
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前日の夜や退社後に送ると「バタバタしていた印象」や「連絡が遅かった」と感じられる可能性あり
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最終出社日を過ぎた後の送信は、業務的にも不自然になってしまいます
一斉送信か個別送信かの判断
送信方法は、相手との関係性や取引の深さに応じて選ぶことが重要です。
■ 一斉送信が向いているケース:
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定期的なやりとりはあるが、特別な関係性がない相手
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多数の関係者に一括で状況を伝える必要がある場合
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お知らせ的な要素が強く、フォーマルな対応が求められるとき
■ 個別送信が望ましいケース:
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長年の付き合いがある重要な取引先
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お世話になった担当者、関係の深いキーパーソン
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今後も個人的な関係を続けたい場合や、再度関わる可能性が高い相手
■ ワンポイントアドバイス:
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一斉送信をする際でも、「TO・CCの設定」「BCCでの配信」など、相手のプライバシーやメールマナーに注意する
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個別送信は少し手間がかかりますが、関係維持においては非常に有効です
タイミングを逃さないためのポイント
日々の業務に追われていると、メッセージの送信が後回しになりがちです。事前準備が成功のカギです。
■ 送信リストを事前に作成する
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退職の1週間前までに「誰に送るか」を明確にしておく
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一斉送信と個別送信でリストを分けておくと効率的
■ スケジュールに送信タイミングを明記
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「○月○日 午前10時:A社へ個別メール送信」など、具体的なタイミングをカレンダーに記録
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必要であれば下書きをあらかじめ用意しておくことで、余裕を持って送信できます
■ 社内調整も忘れずに
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後任者や上司との連携が必要な場合、挨拶の順番や送信前の確認なども計画的に進めましょう
まとめると、誠意をもって感謝を伝えるためには「何を伝えるか」と同じくらい「いつ・どのように伝えるか」が大切です。
適切なタイミングと方法で、取引先に対する敬意を最後まで丁寧に表しましょう。
退職メッセージのNGワード
退職メッセージは「感謝」と「礼儀」がすべての基本です。しかし、どれだけ丁寧な文面でも、不適切な言葉やネガティブな表現が含まれていると、印象が大きく損なわれてしまいます。特に社外の取引先に送る場合は、会社全体の信頼に関わるため、慎重に言葉を選ぶ必要があります。
避けるべき表現とその理由
■ 「つらい毎日でした」「辞められて清々しています」などのネガティブ表現
こうした表現は、読む相手に「この人はずっと不満を抱えていたのか」「何か問題があったのか」といった不安や不快感を与える原因になります。たとえ本心であっても、退職メッセージは感謝の言葉で締めくくるビジネス文書。ネガティブな感情は一切出さずに、あくまで前向きなトーンを保ちましょう。
■ 「個人的な事情で」「諸般の事情により」といった曖昧な表現
このようなあいまいな表現は、受け手にさまざまな憶測を与えかねません。「トラブルか?」「会社との間に何かあったのか?」といった余計な疑念を抱かせてしまうこともあります。
退職理由は詳細に伝える必要はありません。単に「一身上の都合により」といった、ビジネスで定型化された表現を使うことで、角の立たない対応が可能です。
■ その他に避けたい表現例
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「これからは自由になります」
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「上司との価値観が合わずに」
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「環境を変えたかった」
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「会社の方針に共感できなくて」
これらは相手が読んで不快に感じるだけでなく、会社への批判や不満を示唆しているように受け取られる可能性もあります。
受け取る側への配慮が求められる理由
退職はあくまで「個人的な決断」である一方で、取引先にとっては業務の継続や関係性の変化に直結する出来事です。たとえば、長年の担当者が突然いなくなることで「大丈夫だろうか」「今後の対応は問題ないか」と不安に感じる取引先も少なくありません。
だからこそ、退職メッセージでは以下のような配慮が求められます。
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事実を簡潔かつ前向きに伝える
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会社全体としての信頼感を損なわない表現を使う
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業務が円滑に継続されることを示す
たとえ退職の背景に不満や複雑な事情があったとしても、社外向けにはそれを表に出さず、ビジネスマナーを重んじる態度が何より大切です。
ワンポイントアドバイス
文面を書き終えたら、第三者(上司や信頼できる同僚)に一度読んでもらうのも効果的です。自分では気づかない微妙なニュアンスや誤解を招く表現を指摘してもらえるため、失敗のリスクを減らすことができます。
退職メッセージは、「去る者」の印象を決定づける最後の名刺代わり。
穏やかで感謝の気持ちに満ちた文面が、あなたの誠実さと信頼感を相手の記憶に残してくれるはずです。
取引先との今後の関係を維持する方法
退職をきっかけに関係が途切れてしまうことを防ぐためには、最後のメッセージで「今後につながる配慮」をしっかりと盛り込むことが大切です。業務の引き継ぎや連絡先の共有を丁寧に行うことで、相手に安心感と信頼を与えることができます。
連絡先の明記
退職後も個人的なつながりを保ちたい場合や、将来的にまたどこかで関わる可能性がある相手には、文面の末尾に連絡先を記載するのが効果的です。
■ 名刺交換が難しい場合の対応
オンライン業務が増えている現代では、直接名刺を渡す機会がないまま退職日を迎えることも少なくありません。そのような場合には、メッセージ内に以下のような情報を記載することで、必要な連絡を取りやすくなります。
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個人用メールアドレス(Gmail等)
例:「今後のご連絡は以下までお願いいたします」
example.tenshoku@samplemail.com -
LinkedInプロフィールURL
「ご縁が続きましたら、LinkedInでもぜひつながってください」
https://www.linkedin.com/in/○○○○ -
SNS(ビジネス用途に限る)
業界によってはX(旧Twitter)やnote、ポートフォリオサイトなども紹介されるケースがありますが、公私混同にならないよう注意が必要です。
■ 書き添える際の例文:
今後ともご縁がございましたら、以下までご連絡いただけますと幸いです。
メール:example.tenshoku@samplemail.com
LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/○○○○
※無理に記載する必要はありませんが、相手との関係性や業種によって柔軟に対応しましょう。
引き継ぎの考慮と次代への支援
取引先に安心していただくためには、「業務がしっかり引き継がれている」ことを明示するのが非常に重要です。
■ 後任者の情報を明記する
相手が最も気にするのは「これから誰に連絡を取ればよいか」です。下記のような項目をメッセージに含めると、相手の不安を軽減できます。
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後任者の氏名
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役職・部署名
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メールアドレス・直通番号(あれば)
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引き継ぎが完了している旨の説明
■ 書き添える際の例文:
今後の業務につきましては、後任の〇〇(部署名:営業部/連絡先:○○○@company.co.jp)が責任をもって対応いたします。
引き続き変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
■ さらに丁寧な配慮
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「〇〇にはすでに引き継ぎを完了しており、業務も問題なく対応できる体制が整っております」
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「ご不明な点があれば、いつでも私宛でも〇〇宛でもご連絡ください(※最終出社前であれば)」
こうしたひと言があるだけで、取引先にとっての心理的ハードルは大きく下がります。
ワンポイントアドバイス
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社内での共有も忘れずに:後任者にも「この取引先にはこういう背景がある」という情報共有をしておくと、スムーズな関係維持が期待できます。
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後任者の紹介メールを同時に送信する:場合によっては、後任者との「CC同時送信」で紹介を行うのも有効です。
まとめると、退職メッセージは「業務を離れる人」から「未来に責任をつなぐ人」へのバトンタッチの瞬間です。
自身の印象をよくするだけでなく、会社全体の信頼維持にもつながる重要なコミュニケーションとして、丁寧に仕上げましょう。
成功するメッセージに必要なこと
退職メッセージは、単なる「報告文」ではなく、関係の締めくくり方を丁寧に整えるビジネス文書です。
感謝の気持ちを適切に伝えつつ、読み手に負担を与えない気遣いがある文面は、短くても強く心に残ります。ここでは、印象に残るメッセージの作成法と、読み手への配慮ポイントを解説します。
短いながらも心に残る文面作成法
ビジネスメールにおいては「簡潔さ」が基本です。退職メッセージも例外ではなく、長文よりも“内容の密度”が重要です。
■ 大切なのは「伝えたい3つの軸」
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感謝:これまでのお付き合いへのお礼
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配慮:後任者への引き継ぎや今後の対応への言及
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前向きな姿勢:退職の節目に対する前向きな姿勢や、相手への応援
この3つがきちんと盛り込まれていれば、200〜300文字程度でも、しっかりと気持ちは伝わります。
■ 心に残る文面にするためのポイント
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「お世話になりました」だけで終わらせない
→ 何に感謝しているのかを一言添えると、印象がグッと深まります。 -
文のトーンは柔らかく、押し付けがましくしない
→ 「今後ともよろしくお願いいたします」「お力添えをいただければ幸いです」など、協調性のある表現を意識しましょう。 -
一読で内容が伝わる構成にする
→ 前置きが長すぎると本題が埋もれてしまいます。冒頭で「退職のご挨拶であること」がわかるようにしましょう。
返信や反応を見越した表現
ビジネスパーソンは常に忙しく、1日に何通ものメールに目を通しています。そんな中で退職メッセージが届いたとき、返信の必要があるのか迷わせてしまうのは避けたいところです。
相手に“返信の義務”を感じさせない文面にすることが、スマートな気遣いです。
■ 使えるワンクッション表現
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「ご多忙中恐れ入りますが、ご返信はどうぞお気遣いなさらないでください」
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「ご返信には及びませんので、略儀ながらメールにて失礼いたします」
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「ご多用のことと存じますので、ご返信には及びません」
これらの表現を添えることで、読み手の心理的負担が軽減され、「丁寧で感じがよい」「気遣いができる人だな」と印象付けることができます。
■ 返信を誘導したい場合は?
今後も関係を続けたい相手には、以下のような表現で“軽く返信を促す”ことも可能です。
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「お近くにお越しの際は、ぜひお声がけください」
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「またお会いできる機会を楽しみにしております」
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「何かございましたら、下記までご連絡いただけましたら幸いです」
相手に選択肢を与える表現にすることで、押し付けがましくなく、自然なやりとりが生まれやすくなります。
ワンポイントまとめ
心に残る退職メッセージとは、文章の長さや美しさよりも、「相手への敬意・感謝・配慮」が込められているかどうかがすべてです。
また、読み手に負担をかけない構成や言葉選びを意識することで、より良い印象と関係性の継続につながります。
効果的な退職メッセージのポイント
退職の報告は、単なる業務連絡ではなく、これまでの関係に区切りをつける大切なコミュニケーションの場です。最後の印象が良ければ、退職後もその人柄や誠実さが記憶に残り、ビジネス上の信頼につながります。ここでは、相手に好印象を与え、今後の関係性を前向きに保つための具体的なポイントを解説します。
マナーを守った文面で好印象を残す
■ 正しい言葉遣い
退職メッセージはビジネス文書です。フランクな表現や口語調は避け、丁寧語・謙譲語・尊敬語を適切に使うことが基本です。
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NG:「お世話になりましたー!」
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OK:「これまでのご厚情に心より感謝申し上げます」
特に取引先宛てには、社内メールのような砕けた文体は避け、「失礼のない文章かどうか」を確認してから送信しましょう。
■ ポジティブな内容
退職には様々な理由があるかもしれませんが、メッセージの中ではあくまで前向きな姿勢を大切にします。
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「多くのことを学ばせていただき、感謝しております」
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「皆様のおかげで、充実した日々を過ごすことができました」
など、お世話になったことへの感謝と、自分の経験の糧となったことを伝える表現が好印象につながります。
■ 誠意ある締めくくり
最後の一文が全体の印象を左右します。ありきたりな締めではなく、相手の未来や会社への応援の気持ちを込めると、文章が一層あたたかくなります。
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「貴社のますますのご発展と、皆様のご健勝をお祈り申し上げます」
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「今後のご活躍を心よりお祈りいたします」
形式的でも、丁寧で整った締めの言葉は、最後まで気を抜かずに整えましょう。
取引先との良好な関係を築くためのステップ
退職は関係の終了ではなく、「かたちが変わるだけの通過点」と捉えると、今後のつながりを意識した配慮ができるようになります。
■ 退職後も縁がつながるよう、配慮の行き届いた対応を
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後任者の情報をきちんと伝える:引き継ぎがスムーズに行われるよう、後任の氏名や連絡先を記載しておくと、相手に安心感を与えます。
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返信の可否を明記する:「ご返信には及びません」と書いておくと、相手に負担をかけません。一方で、関係を保ちたい相手には、さりげなく「今後もご連絡をいただけますと幸いです」などと記すのも効果的です。
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連絡先の記載(必要に応じて):「名刺交換の機会がなかった方へ」と前置きし、メールアドレスやLinkedInの情報を記載することで、今後の連絡手段を提供できます。
■ ワンランク上の心配り
取引先との関係が深かった場合には、「これまでの思い出」や「特に印象に残っている出来事」などを一言添えると、その人にしか書けない特別なメッセージになります。
例:
「○○プロジェクトの際は、大変お世話になりました。あの時のご助言が今も心に残っております。」
こうした一言は、機械的な一斉送信では得られない“人としてのつながり”を強く印象づけてくれます。
まとめ|心を込めて、円満な退職の一歩を踏み出そう
取引先への退職メッセージは、これまでの感謝を伝える大切な機会です。丁寧な言葉遣いと前向きな姿勢を心がければ、あなたの印象だけでなく、会社の信頼にもつながります。今回ご紹介した文例やマナーを参考にすれば、どんな立場の方でも安心してメッセージを作成できるはずです。
たとえ退職後に直接関わることがなくとも、「最後まできちんと」を意識して、一通一通に気持ちを込めて送りましょう。ビジネスマナーを大切にした一言が、あなたのこれからにも良い影響を与えてくれるはずです。