突然の訃報に動揺している中、「会社にどう連絡すればいいのか分からない…」と戸惑った経験はありませんか?
大切な人を亡くしたときこそ、社会人として冷静かつ丁寧な対応が求められます。とはいえ、普段あまり経験のない忌引き連絡には不安もつきものです。
本記事では、電話とメールそれぞれの連絡方法や注意点、実際に使える文例まで、初心者でも安心して使える形で解説しています。いざという時に困らないよう、事前に知っておきましょう。
忌引きのための会社への連絡方法
忌引きとは?基本的な定義と意味
忌引きとは、近親者が亡くなった際に喪に服するために取得する休暇のことを指します。精神的な落ち着きを取り戻す時間や、通夜・葬儀などの弔事に対応するために設けられた制度であり、多くの企業では「特別休暇」の一種として就業規則に定められています。法律で義務づけられているものではありませんが、労働慣行として広く認められている制度です。
忌引きの対象となる親族の範囲や日数は会社によって異なりますが、一般的には「配偶者」「父母」「子」「兄弟姉妹」「祖父母」などが対象となり、1〜5日程度の休暇が認められることが多いです。
この期間は、通常の有給休暇とは別枠で付与されることが多いため、取得にあたっての就業規則の確認が重要です。
忌引きの連絡をする必要性
忌引きは予告できない突発的な事情であるため、会社に連絡を入れるタイミングが非常に重要になります。業務の調整や引き継ぎのためにも、できるだけ早く、かつ丁寧に事情を伝えることが社会人としてのマナーです。
突然の休みにより、職場の同僚や関係者に迷惑をかける可能性があるため、誠実で正確な対応を心がけましょう。また、直属の上司や人事担当者への報告はもちろん、関係部署との調整が必要になる場合もあります。
事後連絡にならないよう、可能な限り早朝でも一報を入れることが信頼関係の維持につながります。
会社に伝えるべき情報とは?
忌引きの連絡をする際には、単に「休みます」と伝えるのではなく、相手が状況を正しく理解できるように必要な情報を整理して簡潔に伝えることが大切です。以下の項目は、最低限伝えるべき内容として押さえておきましょう。
-
亡くなった方との続柄(例:実父、義母、祖母など)
-
亡くなった日時(例:○月○日未明、○月○日午後など)
-
通夜および葬儀の日程(例:通夜が○日、葬儀が○日など)
-
忌引き予定期間(例:○月○日から○月○日までの○日間)
-
仕事の引き継ぎや連絡先(可能であれば、代行者や緊急連絡手段を記載)
これらの情報をあらかじめメモしておくと、電話口やメールで慌てずにスムーズに伝えられます。
また、事情により忌引きの延長が必要になる場合や、体調や心身の都合で即時の復帰が難しい場合は、その旨も正直に伝えておくとトラブルを防ぐことができます。
電話での連絡方法
忌引きの連絡は、できる限り電話で直接伝えるのが基本です。突然の訃報で気持ちが動揺している中でも、社会人として丁寧に対応することが大切です。相手が口調や雰囲気から状況を察することができるため、メールよりも電話の方が誤解が少なく、配慮の気持ちも伝わりやすくなります。
電話連絡の基本的な流れ
忌引きの電話をかける際には、以下の手順に沿って、落ち着いて、必要な情報を簡潔に伝えるようにしましょう。
-
自分の部署名と氏名を名乗る
例:「お忙しいところ失礼いたします。○○部の△△です。」 -
忌引きであることを簡潔に伝える
例:「実は、○月○日に祖母が他界いたしまして…」 -
続柄・葬儀の日程・休暇の希望日数などを伝える
例:「通夜が○日、葬儀が○日で、○日までお休みをいただけますと幸いです。」 -
業務対応について確認する
例:「担当業務については○○さんに引き継ぎをお願いしております。何かあれば携帯でご連絡いただけます。」
電話の際は、要点をまとめて話すことが大切です。感情的になってしまうと伝え忘れが起きやすいため、メモを用意してから電話をかけると安心です。
上司への電話の言い方
上司や責任者に連絡する場合は、丁寧で誠意のある口調を心がけましょう。以下はそのまま使える例文です。
「お疲れ様です。○○部の△△です。突然のご連絡で恐縮ですが、祖父が本日未明に他界いたしました。通夜・葬儀に出席するため、○日から○日までの間、お休みをいただきたくご連絡差し上げました。業務の件については、○○さんに簡単な引き継ぎをお願いしております。何卒よろしくお願いいたします。」
ポイントは、「突然のご連絡で恐縮ですが」「お休みをいただきたくご連絡しました」などのクッション言葉と丁寧なお願い表現です。心情的な事情を踏まえつつも、仕事への影響を最小限にする姿勢を示すことで、上司にも配慮が伝わります。
急な連絡時の注意点
早朝や深夜など、通常業務時間外に不幸が発生した場合は、連絡のタイミングに悩む方も多いかもしれません。そのような場合は、まずは一報のみを簡潔に伝え、正式な詳細連絡は日中に改めるのがマナーです。
例:
「深夜に恐れ入ります。○○の件で急ぎご連絡いたしました。詳細は明朝改めてご報告させていただきます。」
特に出社前に引き継ぎの必要があるような業務がある場合は、簡単でも連絡を入れておくことで、現場が混乱するのを防げます。
また、会社によっては「緊急連絡先」や「当番制」の管理体制がある場合もあるため、連絡先の確認や、社内ルールの把握も事前にしておくと安心です。
メールでの連絡方法
電話が難しい場合や、会社のルールでメール報告が求められている場合には、忌引きの連絡をメールで行うこともあります。特にテレワーク中や土日祝など、相手に直接つながらないケースでは、メールでの第一報が有効です。ただし、メールでは感情が伝わりにくいため、文面は丁寧さと配慮を重視する必要があります。
忌引きメールの件名の例文
件名は、一目で内容がわかるように簡潔かつ丁寧に表現するのが原則です。以下のような例を参考にしてください。
-
【忌引きによる休暇のご連絡】
-
【急なご連絡/忌引きに伴う休暇のお願い】
-
【忌引き休暇取得のご報告】
-
【忌引きによる不在について(○○部)】
※社内のメールルールに沿って、部署名や氏名を併記する形にするとより親切です。
忌引きメールの基本構成
メール本文では、読み手が状況を正しく把握できるよう、以下の構成を意識しましょう。
-
冒頭のあいさつと連絡の趣旨
-
「お疲れ様です」「突然のご連絡で失礼いたします」などの丁寧な導入から始めます。
-
忌引きによる休暇を申請したい旨を明記します。
-
-
忌引きの理由と予定期間
-
続柄や逝去の日時、休暇の開始日・終了予定日を簡潔に記載します。
-
-
業務対応や引き継ぎに関する情報
-
担当業務がある場合は、代行者や引き継ぎ内容の有無を伝えましょう。
-
-
お詫びと連絡先の記載
-
「ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」といった配慮ある表現を入れ、緊急時の連絡手段がある場合は記載しておくと安心です。
-
実際のメール例文集
件名:【忌引きによる休暇のご連絡】
○○部 ○○様
お疲れ様です。○○部の△△です。
突然のご連絡となり恐縮ですが、○月○日に祖母が永眠いたしました。
通夜および葬儀への参列のため、○月○日から○月○日までの間、忌引き休暇を取得させていただきたく、ご連絡差し上げました。業務につきましては、○○さんに引き継ぎをお願いしており、緊急のご用件がございましたら、私の携帯(090-XXXX-XXXX)までご連絡いただければと思います。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
----
○○部 △△
メール:xxxx@example.com
電話:090-XXXX-XXXX
※社内のフォーマットや敬称のルールに従って調整してください。
このように、誠意と配慮を込めた文面で丁寧に伝えることが信頼関係の維持につながります。形式的になりすぎず、適度に感情を交えながら事実を冷静に伝えることが大切です。
悪化する状況での連絡方法
家族の容体が急変したり、今まさに危篤状態であるといった状況では、気持ちの整理がつかず、仕事への対応が後回しになってしまいがちです。しかし、こうした非常時こそ、冷静に職場へ一報を入れることが大切です。事前の共有や配慮ある対応によって、忌引き取得や業務引き継ぎがスムーズに進み、自分自身も精神的な負担を軽減できます。
家族の不幸を知らせる際の工夫
家族が重篤な状態にある場合は、「まだ亡くなってはいないから…」とためらってしまう人も多いかもしれません。ですが、結果として突然の忌引き休暇となり、周囲に大きな負担をかけてしまうこともあります。
そのような場合は、「正式な忌引きではないが、家族が危篤の状態であること」を“念のため”という形で事前に報告しておくのが理想的です。
例文:
「実は、家族の容体が急変しており、数日のうちに万が一の可能性もあるため、念のためご報告させていただきます。」
こうした先回りの連絡があるだけで、職場側も業務調整の準備がしやすくなりますし、信頼ある対応として評価されることもあります。
会社への報告が遅れた場合の対応
精神的なショックや葬儀の準備などで、やむを得ず会社への報告が遅れてしまうケースもあります。そんなときは、まず報告が遅れたことに対しての謝罪をしっかりと述べることが基本です。
その上で、「何があって、なぜ連絡が遅れたのか」を簡潔に、正直に伝える姿勢が大切です。
例文:
「このたびはご連絡が遅れてしまい、大変申し訳ありません。突然のことで動揺してしまい、ご報告が後手となってしまいました。」
人として当然の感情であることを理解してもらうためにも、感情的な表現を過度に抑える必要はありませんが、相手に対する誠意が伝わる表現を選ぶことがポイントです。
また、報告後は「今後の対応」についても自分から提案するようにすると、信頼回復にもつながります。
緊急連絡の重要性
家族の死去は、ほとんどの場合突然訪れます。経験がないと、「今、連絡してもいいのか?」「あとで落ち着いてからでも大丈夫かもしれない」と迷ってしまう方も多いでしょう。
しかし、こうした状況では「迷ったらまず一報入れる」ことが何よりも大切です。
たとえ詳細が決まっていなくても、
-
「通夜・葬儀の日程はこれから決まる予定です」
-
「現在移動中で詳細は追ってご連絡します」
というように、“第一報”だけでも入れておくことで、誠意ある対応と受け取ってもらえる可能性が高まります。
また、第一報があることで会社側も、業務の手配やチームへの伝達準備ができます。後になって突然「明日から休みます」となるよりも、周囲の負担を減らし、自身の信頼維持にもつながるのです。
忌引きの期間と休暇取得
忌引き休暇の取得は、多くの企業で認められているものの、その対象範囲や日数は会社によって異なります。いざという時に慌てないよう、事前に制度の概要を把握しておくことが重要です。ここでは、一般的な期間の目安や、有給休暇との関係、就業規則の確認ポイントについて解説します。
一般的な忌引きの期間
忌引き休暇の日数は、亡くなった方との続柄によって異なるのが一般的です。下記は、多くの企業で採用されている代表的な例です。
続柄 | 忌引き日数の目安 |
---|---|
配偶者 | 5日間程度 |
実父・実母 | 3日間程度 |
子(実子) | 3日間程度 |
祖父母・兄弟姉妹 | 1〜2日間程度 |
義父母(配偶者の親) | 1〜2日間程度 |
この日数には、通夜や葬儀への出席・遺族としての対応などを想定した期間が含まれています。ただし、地方や宗教、家庭の事情により、葬儀の形態が異なるケースもあるため、必要に応じて延長や別途相談ができる職場もあります。
また、遠方での葬儀や、複数日にわたる法要等が予定されている場合には、交通事情や宿泊の都合を考慮して、休暇日数を柔軟に調整できるか確認することも大切です。
有給休暇との関係
忌引き休暇は、多くの企業で「特別休暇」として位置づけられており、有給休暇とは別に取得できるケースが一般的です。つまり、忌引きによって本来の有給日数が減ることはなく、給与にも影響がないことが多いです。
ただし、中小企業やベンチャー企業などでは、制度が整備されておらず、有給休暇の使用を求められるケースもあります。そのため、「うちは忌引きが取れるから大丈夫」と思い込まず、あらかじめ制度の有無を確認しておくことが大切です。
特別休暇として認められるかどうかは、就業規則や労働契約書などに記載されていることが多いため、確認が可能な文書を見ておきましょう。
勤務先の就業規則についての確認
忌引きの取得ルールは、会社ごとに異なるため、自分の勤務先の就業規則をしっかり確認することが基本です。具体的には、以下のようなポイントに注目しましょう。
- 忌引きの対象となる親族の範囲(配偶者の親や兄弟姉妹なども対象か)
- 忌引き休暇の日数と起算日(死亡日からか、通夜の日からか)
- 忌引き取得の申請方法(口頭、書面、システムなど)
- 特別休暇としての有無(有給扱いか無給か)
特に注意したいのが、「有給扱いに見えて、実は給与が控除される」ケースや、「対象となる親族の範囲が非常に限定されている」ケースです。
就業規則が手元にない場合は、人事担当者や上司に事前に確認しておくと安心です。
連絡先の選定と伝え方
忌引きの連絡は、誰に・どの手段で・どのように伝えるかによって、その後の職場対応や信頼関係に大きな影響を与えることがあります。感情的になりやすい状況だからこそ、落ち着いて、最適な連絡先と方法を選ぶことが大切です。
職場での連絡先の選び方
忌引きのような重要な連絡は、まずは直属の上司に伝えるのが基本です。
上司を通して関係者へ情報が共有されることで、混乱や重複した伝達を防ぐことができます。
直属の上司が不在の場合や出張中の場合には、部門の責任者や人事担当者など、業務に影響が出ないよう判断できる立場の人を優先して連絡しましょう。
そのうえで、次のようなケースにも対応できると理想的です。
-
担当業務の関係者(プロジェクトメンバーや事務スタッフなど)へも簡単に一言伝えておく
-
顧客対応をしている場合は、代理対応者や他部署と連携を取ってもらえるよう依頼する
つまり、「直属の上司 → 関係部署 → 同僚・部下」の順に情報を広げるのが基本です。連絡が遅れることで業務に支障が出ないよう、可能な限り早めに対応しましょう。
SNSやLINEなど新しい手段の活用
近年では、社内でSlack、Chatwork、LINE WORKSなどのチャットツールを活用している企業も増えています。
これらのツールはスピーディな連絡に適しており、上司や同僚に「取り急ぎの一報」を入れる手段として非常に有効です。
たとえば、以下のように使い分けましょう。
-
緊急時や時間外:チャットで速報+「詳細は改めてご連絡します」
-
業務時間内:電話やメールで正式に報告
-
関係者にはチャットでフォロー文を送る
ただし、チャットツールで済ませてしまうと「マナーが欠けている」と受け取られる場合もあります。あくまでチャットは補助的手段であり、正式な連絡は電話またはメールで行うのが望ましいという前提を忘れないようにしましょう。
部下や同僚への伝え方
自分がチームのリーダーやプロジェクトの責任者など他の人に指示を出す立場の場合は、部下や同僚に対しても適切な連絡が必要になります。
以下のようなポイントを意識すると、現場の混乱を避けられます。
-
状況を簡潔に伝える(例:「○日まで忌引き休暇をいただきます」)
-
業務の対応者を明確にする(例:「この期間の対応は○○さんにお願いしています」)
-
緊急連絡先の有無も伝えておく(例:「至急の件があれば、○○さん経由でご連絡ください」)
例文:
「身内の不幸があり、○月○日までお休みをいただくことになりました。お急ぎの案件がある場合は、○○さんにご相談いただけますと助かります。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。」
このように、周囲が迷わず動けるよう配慮ある伝え方を意識することで、職場との信頼関係もより強固になります。
マナーと注意点
忌引きの連絡は、感情的に不安定なタイミングで行うことが多いため、言葉選びや伝え方に悩む方も少なくありません。しかし、こうしたときこそ社会人としてのマナーや気遣いが問われる瞬間でもあります。以下では、連絡時に気をつけたいマナーや表現、香典や供花への対応について詳しく解説します。
連絡時の挨拶と礼儀
忌引きの連絡は、突然の訃報によるものであるとはいえ、最低限の挨拶や礼儀を欠かさないことが信頼感につながります。
たとえば、電話でもメールでも、以下のようなクッション言葉を冒頭に添えると印象が大きく変わります。
-
「お忙しいところ恐れ入ります」
-
「突然のご連絡で失礼いたします」
-
「ご多忙中、誠に申し訳ございません」
また、本文中でも、
-
「急なお休みをいただくことになり、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
-
「ご理解とご配慮をいただけますと幸いです」
といったように、一方的な報告にならないよう、相手に配慮する姿勢を言葉で表現することが大切です。
たとえ状況が緊急であっても、一言の気遣いがあるかないかで、相手の受け取り方は大きく変わります。
相手を気遣った文面のポイント
忌引きの連絡においては、「家族が亡くなった」という自分の事情ばかりに意識が向きがちですが、受け取る相手の状況や立場に配慮した言葉づかいを心がけることが、社会人としての思いやりの表れです。
たとえば、以下のような表現が好まれます。
-
「突然のお知らせとなり恐縮ですが…」
-
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
-
「ご対応いただき、ありがとうございます」
さらに、業務への影響に対しても一言添えると丁寧です。
-
「ご多忙の中、急な対応となり恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします」
-
「業務面でご負担をおかけしますが、引き継ぎは○○にお願いしております」
このように、自分の都合を押し付けるのではなく、相手の立場も尊重したバランスのよい表現を意識することで、温かく誠実な印象を与えることができます。
香典や供花に関するマナー
職場の上司や同僚などから、香典や供花を贈られる場合もあります。ただし、最近では「辞退する」方針の家庭や宗教的背景、また葬儀が家族葬などの小規模で行われるケースも増えています。
そのため、以下のように事前に辞退の意思を伝えると、相手に余計な気遣いをさせずに済みます。
辞退の伝え方例:
「誠に恐縮ですが、家族の意向により香典・供花はご辞退申し上げております。お気遣いをいただき、心より感謝申し上げます。」
「本件につきましては、家族葬のため香典などのお心遣いはご遠慮させていただいております。何卒ご了承いただけますと幸いです。」
一方で、辞退の連絡をしない場合、相手によっては「どう対応すればよいか分からない」と感じてしまうこともあるため、辞退する場合は明確に、しない場合は感謝の意を丁寧に伝えるのがマナーです。
また、忌引き後に復帰した際には、職場からの香典・供花・お悔やみの言葉に対して一言お礼を伝えると、より丁寧な対応となります。
このように、忌引きの連絡は単なる「休暇取得の報告」ではなく、周囲の理解と協力を得るための重要なコミュニケーションです。正しいマナーを押さえた丁寧な対応は、自身の評価にもつながります。
忌引き後の業務引き継ぎ
忌引きによる休暇は、突然のことが多いため、業務の引き継ぎや復帰後の対応をどうするかで、職場全体のスムーズな運営に大きく影響します。感情的に落ち着かない中でも、周囲との協力を得ながら誠意をもって対応することが、信頼を損なわないポイントです。
仕事の引き継ぎ方法とは?
忌引きが決まった時点で、可能であれば引き継ぎ内容を簡潔にまとめ、口頭または文書で共有しておくのが理想です。緊急の場合は、チャットやメールでも構いませんが、伝え漏れや誤解がないように注意しましょう。
引き継ぎ時のポイント:
-
担当している業務内容の概要
-
締切があるタスクの進捗状況
-
顧客対応や会議出席の有無
-
担当引き継ぎ先の名前と連絡方法
-
代行に必要な資料やファイルの場所
例:
「現在対応中のA案件は、○○日までに納品予定です。進捗は7割程度で、必要資料は共有フォルダの△△にまとめています。担当変更については○○さんにお願いしました。」
業務内容によっては、「対応が必要ないこと」も明確にしておくことで、無駄な確認を防げます。
また、急すぎて準備ができなかった場合は、復帰後に謝意とともに状況を説明し、改めて整理しておくと好印象です。
休み明けの状況報告の必要性
忌引き休暇から復帰する際には、関係者に対して簡単な挨拶と報告を行うことがマナーです。
職場での立場や役割にもよりますが、以下のような対応が望ましいでしょう。
状況報告の内容:
-
忌引き期間中の対応へのお礼
-
業務復帰の意思表示
-
今後の業務予定(遅れや調整がある場合の説明)
例文:
「このたびは忌引き休暇をいただき、ありがとうございました。皆さまにご対応いただいたおかげで、無事に対応を終えることができました。本日より通常通り勤務いたしますので、よろしくお願いいたします。」
また、引き継ぎ内容や残された作業の進捗確認も忘れずに行い、自分のタスクをどこから再開すべきかを把握することが大切です。
復帰後のコミュニケーション
復帰後は、無理をせず、心身の状態を見ながら段階的に業務に戻る姿勢が大切です。特に近親者の死去の場合、心の整理には時間がかかることもあります。
-
周囲からの「おかえりなさい」「大変だったね」という言葉に、無理に明るく返そうとせず、「ご迷惑をおかけしました、ありがとうございます」と感謝を伝えるだけで十分です。
-
感情が不安定な時は、直属の上司に一言「まだ少し気持ちが落ち着いておらず…」と伝えておくことで、配慮を得やすくなります。
また、業務量が復帰直後から多すぎると精神的な負担が大きくなるため、必要に応じて上司に調整を相談することも遠慮なく行いましょう。
忌引き後の対応は、業務再開の第一歩であると同時に、周囲との信頼関係を再確認する場でもあります。無理をせず、感謝の気持ちと誠実さを大切にした対応を心がけましょう。
国内外の忌引きの違い
忌引き制度は国や地域によって大きく異なります。特にグローバルな企業で働く場合や、海外の同僚とのやり取りがある仕事では、忌引きに対する文化や慣習の違いを理解しておくことが重要です。ここでは、日本の忌引き制度と海外の対応を比較しながら、文化的背景や対応のポイントを解説します。
日本における忌引き制度
日本では、古くから「喪に服す」という文化が根づいており、家族の死に対して一定期間、社会的活動を控えることが礼儀とされてきました。この価値観は、現代の企業制度にも反映されており、忌引き休暇という特別休暇が整備されている企業が多くあります。
特に一般的な対応としては、
-
通夜・葬儀・初七日法要への出席を前提とした日数が与えられる
-
対象となる親族の範囲(配偶者・父母・子・兄弟姉妹・祖父母など)が明確
-
地方によって葬儀が2日以上かかることもあり、遠方への移動を考慮した休暇設定も多い
-
公立学校や公務員制度にも「忌引き」が明文化されている
また、香典返しや四十九日法要など、葬儀後の慣習も多いため、精神的・時間的な配慮がより求められる傾向があります。
海外の忌引きの慣習との比較
欧米諸国をはじめとする海外では、忌引き休暇の概念はあるものの、日本に比べて期間が短く、宗教や文化的な背景に応じた対応が主流です。
たとえば、
-
アメリカ・カナダなどでは「Bereavement Leave」と呼ばれ、2〜5日程度が一般的
-
続柄に関係なく一律の日数が設定されている企業も多い
-
宗教儀式がない場合は、休暇申請が通らないこともある
-
家族葬や火葬後の小規模な追悼などが多く、精神的ケアよりも形式面が重視される傾向
また、欧州の一部では「有給の範囲内で対応する」企業も多く、忌引きのために特別な休暇制度がない国も存在します。
一方、イスラム圏などでは、埋葬が亡くなった当日に行われることが多く、忌引きというよりも宗教上の行事としての位置づけが強いケースもあります。
文化による影響と対応
現代の職場では、多様な文化背景を持つ人々が同じ環境で働くことが当たり前になっています。そのため、企業側や個人としても、忌引きに対する考え方や制度の違いを理解し、柔軟に対応できる姿勢が求められます。
たとえば、
-
海外の同僚に忌引きを伝える際、「親が亡くなったため数日休みます」とだけ伝えても、文化によっては重みが伝わらない場合がある
-
グローバル企業では、忌引き休暇が国ごとの労働法準拠になっていることが多く、制度の整合性に注意が必要
-
宗教的背景を持つ社員に対しては、「〇日以内に埋葬」などの教義に配慮した休暇設定が求められる
したがって、日本国内で働く場合であっても、多文化的な視点を持ち、相手の立場や制度を尊重する意識がビジネスマナーの一部になりつつあります。
忌引き制度は単なる「休暇」ではなく、その国・地域・文化が持つ死生観や家族観の現れでもあります。特にビジネスにおいては、こうした価値観の違いを理解し、相手に合わせた柔軟な対応ができるかどうかが、円滑なコミュニケーションと信頼構築の鍵になります。
まとめ|いざという時に備えて正しい連絡方法を知っておこう
忌引きは突然訪れるものであり、そのときに冷静に会社へ連絡するのは決して簡単なことではありません。しかし、基本的なマナーや伝えるべき情報、電話やメールでの文例をあらかじめ知っておけば、落ち着いて対応することができます。大切なのは、相手に配慮した伝え方と、正確な情報共有です。
この記事を参考に、万一の場面でも困らないよう、ぜひ事前に準備しておきましょう。社会人としての信頼にもつながります。