家族が死亡した際の銀行口座の解約手続きガイド

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大切な家族が亡くなった後、何をどう進めればいいのか分からず、戸惑うことが多いものです。特に、銀行口座の解約は複雑そうで後回しにしがちですが、実は放置すると思わぬトラブルに発展することもあります。

本記事では、初心者の方でも安心して手続きを進められるように、銀行口座の解約に必要な書類や具体的な流れをやさしく解説。相続や凍結に関する不安を解消し、スムーズな手続きの一助となる情報をまとめています。ぜひ最後までご覧ください。

  1. 家族が亡くなったときの銀行口座解約手続きガイド
    1. 亡くなった人の銀行口座解約が必要な理由
    2. 解約手続きの流れと注意点
      1. 解約の基本的な流れ
      2. 注意すべきポイント
    3. 銀行口座の凍結とその影響
      1. 事前の出金は注意が必要
  2. 解約に必要な書類と準備方法
    1. 口座名義人の確認と必要書類
      1. 1. 死亡診断書または除籍謄本
      2. 2. 相続人であることを証明する戸籍謄本一式
      3. 3. 口座名義人の通帳・キャッシュカード
      4. 4. 相続人の本人確認書類・印鑑
    2. 戸籍謄本や印鑑証明書の取得方法
      1. 戸籍謄本の取得方法
      2. 印鑑証明書の取得方法
    3. 遺言書がある場合の手続き
      1. ● 遺言書がある場合
      2. ● 遺言書がない場合
  3. 銀行口座解約の具体的な手続き方法
    1. 銀行への連絡方法と窓口訪問の流れ
      1. ■ 連絡方法
      2. ■ 連絡時に伝える情報
      3. ■ 窓口訪問時の流れ
    2. ATMやWebでの手続きの可否
    3. 解約時の残高処理について
      1. ■ 分配の基本ルール
      2. ■ 銀行による「相続預金口座」の設定
      3. ■ 注意点
  4. 亡くなった親の口座解約に関するよくある質問
    1. 解約しない場合、どうなるのか?
      1. ■ 休眠預金とは?
    2. 残高ゼロの口座の取り扱い
      1. ■ 凍結は残高に関係なく発生
      2. ■ 放置することで起きるリスク
    3. トラブルを避けるためのアドバイス
      1. ■ 相続人同士で必ず情報共有を
      2. ■ 解約前に相続分の取り決めをしておく
      3. ■ 可能であれば生前に口座整理しておくとスムーズ
  5. 専門家に依頼するメリット
    1. 司法書士や相続専門家に相談する理由
      1. ■ 相続人が多数いる場合
      2. ■ 不動産・株式など、財産が多岐にわたる場合
      3. ■ 遺言書があるが、内容に不明点がある場合
    2. トラブル解決のためのサポート方法
      1. ■ 相続人間の意見調整の仲介
      2. ■ 遺産分割協議書の作成支援
      3. ■ 書類取得・提出代行
      4. ■ 税務面のサポート(相続税)
    3. 依頼先の選定基準
      1. ■ 相続案件の経験・実績があるか
      2. ■ 初回相談が無料か
      3. ■ 明確な料金体系か(成功報酬より定額制が安心)
  6. まとめ|家族が亡くなったあとの手続きは早めに確認しましょう

家族が亡くなったときの銀行口座解約手続きガイド

大切な家族が亡くなったあと、悲しみと向き合いながら、同時に多くの事務手続きを進めていかなければなりません。
中でも、銀行口座の解約手続きは、預貯金の相続や今後の生活にも関わる重要なステップの一つです。

しかし、いざ手続きを進めようとすると、「何から始めればいいの?」「どんな書類が必要?」「口座って勝手に使っても大丈夫?」といった不安や疑問を抱く方も少なくありません。

この記事では、亡くなった家族の銀行口座をどう扱えばいいのか、凍結のタイミングや必要な書類、実際の流れや注意点を、初心者にもわかりやすく丁寧に解説していきます。
複雑な制度をシンプルに理解し、無理なく確実に手続きを進めるための参考にしてください。

亡くなった人の銀行口座解約が必要な理由

人が亡くなると、その人名義の財産はすべて「遺産(相続財産)」となり、相続手続きが必要になります。もちろん、銀行口座の預金もその対象に含まれます。

死亡届が役所に受理されると、いずれかの相続人や関係者が銀行に連絡を入れた時点で、該当する銀行口座は即座に凍結され、預金の引き出しや振込ができなくなります。
この措置は、勝手な出金や不正利用を防ぐためのものであり、法律的にも正当な対応です。

口座を放置しておくと、次のような問題が発生する恐れがあります。

  • 公共料金や家賃の引き落としが止まり、未納状態になる

  • 複数の相続人がいる場合に「誰が使ったのか」で揉める

  • 相続税の計算や相続登記に影響が出る可能性がある

  • 引き出しが違法と判断され、後に返還を求められるケースも

つまり、「凍結されたから放置」ではなく、「凍結されたら解約と相続手続きを早めに進める」ことが、円満な相続の第一歩となります。

解約手続きの流れと注意点

銀行口座の解約手続きには、いくつかのステップがあります。焦らず、順を追って対応していくことが大切です。

解約の基本的な流れ

  1. 死亡の連絡と口座の凍結
     銀行に「名義人が死亡した」ことを伝えると、口座は凍結されます。

  2. 必要書類の収集
     戸籍謄本や印鑑証明など、相続人の確定や本人確認のための書類を準備します。

  3. 相続人の確認と同意の取得
     遺産分割協議が必要な場合は、相続人全員の同意が必要です。

  4. 銀行窓口での手続き
     準備した書類を持って銀行の窓口へ行き、正式に解約手続きを行います。

注意すべきポイント

  • 勝手に引き出すのはNG
     名義人が死亡したあと、家族がキャッシュカードや通帳を使って引き出すのは法的に問題となる場合があります。

  • 相続人全員の合意が前提
     相続人が複数いる場合、解約手続きには全員の署名・押印が必要です。一部の人だけで進めると、後に相続トラブルにつながることも。

  • 銀行によって書類の取り扱いが異なる
     必要な書類や手続きの流れは、金融機関によって若干異なります。必ず事前に対象の銀行に問い合わせて確認するようにしましょう。

銀行口座の凍結とその影響

銀行口座の凍結とは、死亡届の受理後、銀行が死亡を把握した時点で預金口座の出し入れが一切できなくなる措置です。

この凍結によって、以下のような影響が出ます。

  • 預金の引き出しや振込ができなくなる
     生前に設定されていた定期送金、年金受取、口座振替などもすべてストップします。

  • 公共料金や住宅ローンの自動引き落としが停止する
     電気・ガス・水道・携帯料金などが未納になる恐れがあるため、早めに支払方法の変更手続きを行う必要があります。

  • 残高確認や通帳記帳も不可になることがある
     凍結後は、残高照会ですら相続人の正当な手続きがなければ行えないため、通帳のコピーや履歴を残しておくと安心です。

うちでは、父が亡くなったあと、公共料金の引き落としが止まってしまい、気づかずに支払いが遅れてしまいました。凍結の影響がこんなところにも出るとは思っておらず、早めに別口座へ変更しておけばよかったと反省しています。

事前の出金は注意が必要

「葬儀費用がかかるから」「病院の支払いに使いたいから」と、生前のうちに現金を引き出しておくケースもあります。
しかし、不正な名義利用と見なされる可能性もあるため、出金のタイミングや金額は慎重に判断する必要があります。

特に相続人が複数いる場合、使途を明確に記録し、他の相続人と共有しておくことがトラブル防止に役立ちます。

解約に必要な書類と準備方法

銀行口座の解約手続きには、本人確認のための書類に加えて、亡くなった方が口座名義人であることや、相続人の立場を証明する書類が必要です。

一見複雑に感じられますが、ひとつひとつの書類には明確な役割があり、手順通りに揃えていけばスムーズに進めることができます。
ここでは、具体的にどんな書類が必要か、またその取得方法について詳しく解説します。

口座名義人の確認と必要書類

一般的な銀行口座解約に必要となる書類は、以下の通りです。銀行によって細かい条件が異なる場合もあるため、事前に対象の金融機関へ確認しておくことが重要です。

1. 死亡診断書または除籍謄本

これは、口座名義人が亡くなったことを証明するための書類です。
通常、死亡診断書は病院で発行され、市区町村に死亡届を提出したあとに「除籍謄本(死亡記載のある戸籍)」を役所で取得することも可能です。

2. 相続人であることを証明する戸籍謄本一式

相続人を確認するためには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍(戸籍の附票を含む場合も)が必要です。
また、各相続人の戸籍謄本も合わせて求められるケースがあります。

3. 口座名義人の通帳・キャッシュカード

解約対象となる口座の通帳・キャッシュカードが必要です。万が一紛失している場合でも、本人確認が取れれば手続きできる場合がありますので、窓口で事情を伝えましょう。

4. 相続人の本人確認書類・印鑑

運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの公的身分証明書が求められます。
また、銀行によっては実印の押印が求められ、あわせて印鑑証明書も提出することになります。

戸籍謄本や印鑑証明書の取得方法

書類の中でも、特に手間がかかるのが戸籍関連の準備です。取得には以下のポイントを押さえておきましょう。

戸籍謄本の取得方法

戸籍謄本は、本籍地がある役所で発行されます。
遠方に本籍がある場合でも、郵送で請求することが可能です。その際には、申請書、本人確認書類のコピー、定額小為替(手数料)などが必要になります。
最近では、一部自治体でオンライン申請(マイナポータル)に対応しているケースも増えています。

知人は、戸籍謄本を郵送で取り寄せる際に、申請書の記入ミスで一度戻されてしまったそうです。記入例を見ながら丁寧に書くことや、役所に事前確認することの大切さを教えてもらいました。

印鑑証明書の取得方法

印鑑証明書は、印鑑登録をしている市区町村の役所や出張所で発行されます。
また、マイナンバーカードと専用端末が設置されているコンビニがあれば、そちらでも発行可能です。
手数料は通常300円程度。発行には印鑑登録カードまたはマイナンバーカードが必要です。

遺言書がある場合の手続き

遺言書の有無によって、銀行口座の解約手続きの内容は大きく変わります。

● 遺言書がある場合

  • 公正証書遺言であれば、家庭裁判所の手続きなしにすぐに効力が発生します。

  • 自筆証書遺言の場合は、まず家庭裁判所で「検認」という手続きを行わなければなりません。これは遺言書の偽造・変造を防ぐための法的手続きで、これを経ない限り遺言書の効力は認められません。

いずれの場合も、遺言書の内容によって、相続人の範囲や割合が変わるため、銀行に提出する書類も変動します。
相続の代表者が明確に指名されている場合には、代表者のみで手続きが進められるケースもあります。

● 遺言書がない場合

この場合は、相続人全員で「遺産分割協議書」を作成し、全員の実印・印鑑証明書を揃えて銀行に提出する必要があります。
協議がまとまらない場合、手続きが長期化する可能性もあるため、冷静な話し合いと専門家のサポートが重要です。

銀行口座解約の具体的な手続き方法

故人の銀行口座を解約する際は、事前の連絡と書類の準備、そして銀行窓口での正式な手続きが必要になります。
ここでは、銀行への連絡方法から窓口訪問の流れ、ATMやオンラインでの可否、解約後の残高の扱いまでを詳しく解説します。

銀行への連絡方法と窓口訪問の流れ

まず最初に行うべきは、故人が口座を持っていた銀行へ死亡の報告をすることです。
銀行は連絡を受けた時点で口座を凍結し、以後の出金や入金を停止します。

■ 連絡方法

銀行への連絡は、以下のいずれかの方法で行います。

  • 最寄りの支店への電話連絡

  • 実際に店舗窓口を訪問して直接申し出る

大手銀行の場合、公式サイトに「相続手続き窓口」や「相談センター」の専用ページが設けられており、そこから問い合わせることも可能です。

■ 連絡時に伝える情報

連絡の際には、以下の情報をできるだけ正確に伝えるようにしましょう。

  • 故人(口座名義人)の氏名・生年月日

  • 利用していた支店名および口座番号(分かる範囲で)

  • 死亡日

  • 相続人との続柄や家族構成

これらの情報に基づき、銀行から必要な手続きの案内と提出書類のリストが提示されます。
手続き内容は金融機関ごとに多少異なるため、事前確認は非常に重要です。

■ 窓口訪問時の流れ

  1. 指定された書類をすべて揃える

  2. 本人確認書類と印鑑を持参

  3. 相続人または代表者が銀行窓口を訪問

  4. 相続人確認・書類提出・手続き申込書への記入

  5. 内容確認後、後日指定口座へ残高が送金される

※銀行によっては、その場で解約処理が完了する場合もあれば、数日〜数週間を要することもあります。

ATMやWebでの手続きの可否

多くの方が気になるのが、「WebやATMで解約手続きはできるのか?」という点です。

結論として、名義人が死亡した後の口座に関しては、ATMやインターネットバンキングを利用した解約や資金移動は一切できません。

これは、以下の理由からです。

  • 死亡をもって本人による取引権限が消失する

  • 相続財産としての扱いとなるため、法的手続きに基づく処理が必要になる

そのため、郵送または窓口での相続手続きに限られます。
なお、生前に利用していたWebバンキングサービスも凍結対象となるため、ログインできても操作は無効となることが多いです。

解約時の残高処理について

口座を正式に解約したあと、その預金残高は相続人へ分配されます。
ただし、現金で手渡されるわけではなく、相続人名義の銀行口座への振込や、代表者による一括受領と分配など、具体的な方法は相続人間の合意や銀行の方針によって異なります。

■ 分配の基本ルール

  • 遺言書がある場合:内容に従って、指定された相続人に支払われる

  • 遺言書がない場合:法定相続分に応じて、または遺産分割協議書に基づいて分配

■ 銀行による「相続預金口座」の設定

一部の金融機関では、解約された預金を一時的に保管する「相続預金口座」が用意されています。
これは、相続人全員の同意が整うまでの間、預金を安全に管理するための仕組みです。

その後、相続人が確定した段階で、個別に分配手続きが進められます。

■ 注意点

  • 相続税の課税対象となるため、受け取った側は確定申告を含めた対応が必要

  • 振込先の名義ミスなどがあると手続きがやり直しになる可能性があるため、慎重な記入が必須

不明点が多く負担の大きい銀行口座の相続手続きですが、手順さえ押さえておけば確実に前へ進める作業です。
万一書類に不備がある場合でも、銀行側から連絡が入り、修正対応できる場合がほとんどですので、まずは焦らず進めることが大切です。

亡くなった親の口座解約に関するよくある質問

故人の銀行口座解約は、相続の中でもつい後回しにされがちな手続きの一つです。
しかし、放置してしまうことで将来的に予想外のトラブルや手間が増えることも少なくありません。
ここでは、実際に多く寄せられる疑問や注意点について、わかりやすく回答していきます。

解約しない場合、どうなるのか?

親の死亡後に銀行口座を解約せず、何年も放置してしまった場合、その口座はやがて「休眠預金」として扱われることになります。

■ 休眠預金とは?

休眠預金とは、10年以上にわたって入出金などの動きがなく、かつ持ち主との連絡も取れていない預金のことです。
このような預金は、預金保険機構を通じて国の管理下に移され、社会貢献事業などに活用される制度が導入されています(2019年から本格運用)。

ただし、口座の持ち主が死亡していた場合、以下のような対応が可能です。

  • 相続人が申し出をすれば、必要書類の提出によって払い戻しが受けられる

  • 凍結された口座であっても、相続手続きの一環として正規のルートで解約ができる

そのため、「もう10年経ってしまったから無理だ」と諦めず、まずは銀行または預金保険機構に問い合わせてみることが大切です。

残高ゼロの口座の取り扱い

「口座にはお金が残っていないから、そのままで大丈夫」と考える方も多いですが、実は残高ゼロの口座であっても放置はおすすめできません。

■ 凍結は残高に関係なく発生

名義人が死亡した時点で、預金残高にかかわらず、すべての口座は凍結対象となります。
これにより、その口座で行っていた各種自動引き落としや年金の入金なども停止されます。

■ 放置することで起きるリスク

  • 他の相続人が気づかず、相続漏れとして問題視される可能性がある

  • 銀行によっては口座維持手数料が発生することがある(特に外資系・ネット銀行)

整理の観点からも、たとえ残高がゼロであっても、不要な口座は相続手続きの一環として正式に解約しておくのが安心です。

トラブルを避けるためのアドバイス

銀行口座の解約に関して最も多いのが、相続人同士の認識のズレや連携不足によるトラブルです。
不要な揉め事を避けるためにも、以下のような対応を心がけましょう。

■ 相続人同士で必ず情報共有を

  • 故人がどこの銀行に口座を持っていたか

  • その残高や利用状況(定期預金やローン契約があるか)

  • 誰が手続きを主導するのか

これらの情報を全員で共有し、透明性のある進め方をすることが、のちの信頼関係にもつながります。

■ 解約前に相続分の取り決めをしておく

  • 相続分に関しては「法定相続分」または「遺産分割協議書」に基づく配分が必要

  • 解約してから取り分を決めるのではなく、「誰が代表して解約し、どう分配するか」を先に決めておくことが重要

あいまいなまま進めると、「勝手にお金を引き出した」と誤解される原因にもなりかねません。

■ 可能であれば生前に口座整理しておくとスムーズ

これは相続発生前の備えになりますが、もし可能であれば、

  • 使っていない口座を本人が生前に解約・整理しておく

  • 財産目録を作っておく(銀行名・支店名・口座番号などの記録)

このような「生前整理」ができていれば、相続発生後の手続きが大幅に簡略化されます。
高齢の親を持つ方は、元気なうちに一度家族で話し合っておくことをおすすめします。

これらの対応を知っておくだけでも、解約手続きをスムーズに進められ、精神的な負担や家族間の対立を避けることができます。

専門家に依頼するメリット

銀行口座の解約をはじめとする相続手続きは、一見シンプルに見えても、状況によっては法律・税務・書類準備など多方面の知識が必要となります。
特に相続人が複数いる場合や遺産の内容が複雑な場合には、個人で対応することに限界を感じるケースも少なくありません。

そんなとき、司法書士や税理士、行政書士などの相続に強い専門家に依頼することで、大きな安心と効率が得られます。

司法書士や相続専門家に相談する理由

相続の専門家に相談すべきか迷ったときは、以下のようなケースに当てはまるかどうかを基準に考えてみましょう。

■ 相続人が多数いる場合

相続人が3人、4人と増えてくると、意見の食い違いや連絡の手間が増え、感情的な対立に発展することもあります。
専門家が間に入ることで、公平かつ冷静に調整を進めることができ、結果として全員が納得する形を整えやすくなります。

■ 不動産・株式など、財産が多岐にわたる場合

遺産の中に不動産や証券、事業資産などが含まれている場合、単なる銀行口座の解約だけでは済まず、登記変更や税務処理も必要になります。
司法書士や税理士など、それぞれの分野の専門家がいれば、分業体制で確実に処理を進めることができます。

■ 遺言書があるが、内容に不明点がある場合

遺言書があるからといって、必ずしも手続きがスムーズに進むとは限りません。
自筆証書遺言では家庭裁判所の検認が必要ですし、公正証書遺言でも解釈に疑義がある場合や遺留分の主張が絡む場合には、専門的な判断が必要になります。

「誰にどのくらい相続させたいか」を故人が意図していたとしても、書き方次第ではトラブルの原因になることも。
法的な観点から判断し、相続人間の調整を円滑に進めてくれるのが、専門家の役割です。

トラブル解決のためのサポート方法

専門家に依頼することで、以下のような具体的なサポートを受けることができます。

■ 相続人間の意見調整の仲介

相続は、金額の多寡に関わらず「感情」の問題が大きく影響します。
司法書士や第三者の立場の人が間に入ることで、中立的な立場から冷静に調整でき、感情的な対立を避ける効果があります。

■ 遺産分割協議書の作成支援

銀行口座の解約には、相続人全員の合意を証明する「遺産分割協議書」が必要です。
これを法的に正しい形式で作成してくれるのが司法書士や行政書士の役割です。

■ 書類取得・提出代行

戸籍謄本・印鑑証明・除籍謄本など、煩雑で時間のかかる書類の収集を代行してくれるプランもあります。
忙しい方や、遠方に住む相続人にとっては大きな負担軽減になります。

■ 税務面のサポート(相続税)

相続税の申告が必要な場合には、税理士によるアドバイスが必須です。
財産評価や控除適用、申告期限(10か月以内)などを適切に処理することで、無駄な税負担を防ぐことができます。

依頼先の選定基準

専門家に依頼する際は、「誰に頼むか」が非常に重要です。以下のポイントを押さえて、信頼できる依頼先を見極めましょう。

■ 相続案件の経験・実績があるか

司法書士・税理士でも、相続を専門とする人とそうでない人がいます。
「相続専門」や「家族信託にも対応」など、実績や対応件数を公開している事務所を選ぶと安心です。

■ 初回相談が無料か

まずは話を聞いてみないと判断できない、という方も多いはず。
無料相談を設けている事務所であれば、費用をかけずに初回ヒアリングができます。
事前に相談内容をまとめておくと、より的確なアドバイスが得られます。

■ 明確な料金体系か(成功報酬より定額制が安心)

「成功報酬型」ではなく、あらかじめ明示された固定費やパッケージ料金を設定している事務所が、後のトラブルも少なくおすすめです。
費用には、書類取得代行・遺産分割協議書の作成・銀行とのやりとりの代行などが含まれる場合もあります。

司法書士や税理士などの専門家は、単に「手続きが楽になる」だけでなく、「相続全体を円満に進めるためのパートナー」となる存在です。
特に人生でそう何度も経験することではない相続手続き。迷ったときは、まず専門家に相談してみることを強くおすすめします。

まとめ|家族が亡くなったあとの手続きは早めに確認しましょう

家族が亡くなった際の銀行口座の解約は、相続や口座凍結と深く関わる大切な手続きです。放置すると引き出しができなくなったり、相続人同士のトラブルにつながることもあります。
今回ご紹介したように、解約には必要な書類や決まった流れがあり、事前に把握しておくことで手続きをスムーズに進めることができます。

少しずつでも準備を進めて、心と手続きの両方にゆとりを持ちましょう。不安がある場合は、専門家のサポートを受けることも選択肢の一つです。

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