退職後に少し落ち着いたら、「少し働こうかな」と思うことがありますよね。
私も専業主婦になったあと、子どもの手が離れてきてアルバイトを始めたとき、「保険ってどうなるんだろう?」と悩みました。社会保険や国民健康保険、年金の切り替えなど、意外とややこしいんです。この記事では、退職後にアルバイトをする場合の保険の扱いを、私の体験を交えながら分かりやすくまとめます。
退職後に入る保険の基本パターン
退職後は、まず「どの保険に入るか」を決める必要があります。
会社員のときは自動的に健康保険や厚生年金に加入していましたが、退職するとそれが一旦リセットされ、自分で次の保険を選ぶことになります。ここをあいまいにしてしまうと、“無保険期間”ができてしまい、病院での自己負担が全額になるというリスクも。退職後は早めの手続きが大切です。
主な選択肢は、次の3つです。
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前職の健康保険を任意継続する
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国民健康保険に加入する
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アルバイト先の社会保険に加入する
それぞれの特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。
前職の健康保険を任意継続する場合
退職後も、最長で2年間は前の会社の健康保険を「任意継続」として使うことができます。
メリットは、会社員時代と同じ内容の保険が継続できる点。通院中の病院や薬局で、手続きの手間を減らせます。
ただし、会社が払ってくれていた保険料の半分も自己負担になるため、保険料が倍近くに上がるのがデメリット。保険料を確認してから判断するのがポイントです。私も一度この方法を検討しましたが、保険料を見て「やっぱり国保に切り替えよう」と思ったほどでした。
国民健康保険に加入する場合
自営業やフリーランス、短時間勤務のパートの方は「国民健康保険(国保)」に加入します。
手続きは住んでいる市区町村の役所で行い、退職日の翌日から14日以内が目安です。
保険料は前年の所得を基準に計算されるため、「去年は正社員で働いていた」という場合は思ったより高く感じるかもしれません。
ただし、自治体によっては減免制度があり、申請することで負担を軽くできる場合もあります。必ず窓口で相談してみましょう。
また、国保に切り替える場合は年金も「国民年金」に変わります。健康保険と年金の両方の手続きが必要になる点を忘れずに。
アルバイト先の社会保険に加入する場合
週の労働時間や月収などの条件を満たせば、アルバイトやパートでも社会保険に加入できます。
この場合、会社と折半で保険料を負担するため、国保よりも安くなるケースが多いです。
特に、勤務先が大企業(従業員101人以上)で、週20時間以上働く場合は加入できる可能性が高いです。
私の知人は、週4日・1日5時間のアルバイトで社会保険に入れました。
「アルバイトだから入れない」と思い込まず、まずは勤務先に確認してみることが大切です。
どの保険がベストかは、働く時間・収入・家族構成によって変わります。
たとえば、「扶養のまま働きたい」「収入を増やして社会保険に入りたい」など、家庭の状況に合わせて最適な選択をするのがポイント。
私も、子どもの扶養や夫の保険との兼ね合いを考えながら、じっくり比較しました。少し手間はかかりますが、ここを丁寧に整理しておくことで後々の安心感が違ってきます。
アルバイト先の社会保険に入れるかを確認しよう
退職後にアルバイトを始めるとき、多くの人が「社会保険には入れるの?」と迷いますよね。
実は、アルバイトやパートでも一定の条件を満たせば社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できるんです。会社員と同じように保障を受けられるため、条件に当てはまるかをしっかり確認しておくことが大切です。
社会保険に加入できる条件とは?
パート・アルバイトの場合、次のすべてを満たすと加入対象になります。
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週の労働時間が 20時間以上
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月収が 88,000円以上(交通費を除く)
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勤務先の従業員数が 101人以上(※企業規模により異なる)
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学生ではない
これらを満たせば、雇用形態にかかわらず社会保険への加入義務が発生します。
特に注意したいのは「従業員数」と「労働時間」。小規模の事業所では条件が異なるため、自分の職場がどの制度に該当するのか確認が必要です。
加入することで得られるメリット
アルバイトで社会保険に入ると、健康保険と厚生年金の両方に加入できるのが大きなメリットです。
国民健康保険よりも自己負担が少なく、医療費や出産手当金、傷病手当金などの保障も手厚くなります。
また、厚生年金に加入していれば、将来もらえる年金額が増えるという安心感も。
「どうせ短期だから」と避けるのではなく、条件を満たすなら積極的に検討する価値があります。
勤務時間の調整で加入できるケースも
私が働いたスーパーでは、週4日・1日5時間の勤務で加入対象でした。
同じように、「1日5時間×週4日」でも条件を満たすケースは意外と多いです。
最初は入れなくても、勤務日数を少し増やすことで加入できることもあるので、シフトを決める前に店長や人事に相談してみると良いでしょう。
注意点|扶養との兼ね合いも忘れずに
もし配偶者の扶養に入っている場合、社会保険に加入すると扶養から外れる可能性があります。
扶養を外れると、自分で保険料を負担することになるため、「働き方」と「保険の切り替え」をセットで考えることが大切です。
私も最初は「扶養のままでいいかな」と思っていましたが、長期的な保障を考えて加入を選びました。
短時間勤務でも加入できることを知らずに損をしてしまう人は多いです。
「短時間でも入れる場合がある」というのは意外かもしれませんが、実際に加入できるケースは増えています。
勤務先に必ず確認して、自分の働き方に合った保険制度を選びましょう。
国民健康保険・国民年金に切り替える場合
アルバイトの勤務時間が短く、社会保険に入れない場合は「国民健康保険」と「国民年金」に自分で加入します。
会社員時代は自動的に会社が手続きをしてくれていましたが、退職後はすべて自己管理。最初のうちは戸惑うかもしれませんが、手続きの流れを知っておけば安心です。
加入手続きは市区町村の窓口で
退職後14日以内に、住んでいる自治体の役所または支所で手続きを行います。
健康保険証を会社へ返却した後、そのまま放置してしまうと「無保険期間」が発生してしまい、もしその間に病院へ行くと全額自己負担になってしまうこともあります。
この点はとても重要なので、退職の翌週あたりに必ずスケジュールを組み、早めに役所へ行くのがおすすめです。
手続きの際に必要なものは以下の通りです。
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身分証明書(運転免許証など)
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退職日が確認できる書類(離職票・退職証明書など)
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マイナンバーカードまたは通知カード
この3点を持っていけばスムーズに手続きできます。窓口では、健康保険と同時に国民年金の加入手続きもできます。
保険料の計算と支払い方法
国民健康保険の保険料は、前年の所得をもとに計算されます。
そのため、退職した年の翌年までは「前職の収入をもとにした金額」で請求されることが多く、思ったより高く感じる人も少なくありません。
ただし、自治体によっては「所得が急減した場合の減免制度」があり、申請することで保険料を下げることができます。
私も退職直後に申請したところ、翌月分からしっかり反映されました。窓口で「減免制度はありますか?」と一言聞くだけでも安心です。
支払い方法は、口座振替やコンビニ払い、納付書による一括払いなどから選べます。
家計管理のしやすさを考えるなら、口座振替を選ぶと払い忘れの心配がなく便利です。
国民年金の「免除・猶予制度」を活用しよう
国民年金の保険料は、毎月定額で全国一律です。
ただし、収入が少ない場合や、家庭の事情で支払いが難しいときには「免除申請」や「納付猶予制度」を使うことができます。
免除には全額・4分の3・半額・4分の1などの区分があり、所得に応じて決まります。
たとえ免除された期間でも、将来の年金受給資格期間にカウントされるため、「払わない=損をする」ということにはなりません。
私自身、パートを始めたばかりの頃に免除申請をしたことがあります。最初は少し勇気がいりましたが、窓口の担当者が丁寧に案内してくれて助かりました。
申請しておけば後から追納することもできるので、無理せず続けることが大切です。
保険と年金の切り替えをスムーズに進めるコツ
退職後の手続きは、どうしても後回しになりがちですが、次の3つを意識するとスムーズです。
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退職証明書を受け取ったら、すぐに自治体の窓口へ
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窓口で「健康保険」と「年金」の両方を同日に申請
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減免・免除制度が使えるか、その場で確認
この3ステップを押さえておけば、無駄なく確実に切り替えができます。
社会保険に入れない場合でも、国民健康保険と国民年金にしっかり加入しておけば安心です。
とくに免除や減免を上手に使えば、無理なく継続できます。家計に負担をかけすぎず、自分と家族の保障を守るためにも、早めの手続きを心がけましょう。
配偶者の扶養に入るという選択
働く時間や収入が少ない場合は、夫(または妻)の扶養に入るという選択もあります。
この方法を選ぶと、自分で保険料を支払う必要がなく、家計への負担を最小限にできます。
「少しだけ働きたい」「子どもの成長に合わせて短時間の仕事をしたい」という人にとって、扶養はとても現実的で安心できる制度です。
扶養に入れる条件の目安
一般的に、年収130万円未満(交通費を除く)が扶養に入れる基準とされています。
ただし、この金額はあくまで目安であり、加入している健康保険組合によって細かい条件が異なることがあります。
たとえば、協会けんぽの場合は「月収108,333円未満」が基準となります。ボーナスが支給される場合は、それも年間収入として計算されるので注意が必要です。
私も最初、週3日ほどのアルバイトを始めたときに「扶養内で働く」と決めていました。
シフトを増やしすぎると扶養を外れてしまうため、勤務時間や月収をこまめに確認していました。
年の途中でペースが変わるときは、「このまま働くと130万円を超えそうかどうか」を定期的に見直すことが大切です。
「年収の見込み」で判断される仕組み
扶養に入れるかどうかは、実際の収入ではなく「今後1年間の見込み収入」で判断されます。
そのため、年末が近づいたときに「少し働きすぎたかも」と気づいても、すぐに外れるわけではありませんが、次年度に影響することがあります。
また、一時的に収入が増えた場合でも、継続的な増加と見なされると扶養を外される可能性があります。
特に複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は、すべての収入を合算して判断されるため要注意です。
私の知人は、短期バイトでボーナスのような報酬を受け取ったことで一時的に基準を超えてしまい、保険組合から「扶養の見直し通知」が届いたことがありました。
そのときに「見込み収入で判断される」というルールを初めて実感したそうです。
扶養に入ることで得られるメリット
扶養に入る最大のメリットは、保険料と年金保険料を自分で負担しなくていいことです。
配偶者の健康保険に入れるため、病院での自己負担も通常どおり3割。
さらに、年金も「第3号被保険者」として扱われるため、自分で国民年金を支払う必要がありません。
この制度のおかげで、子育て中の家庭やパート勤務の方が安心して働ける仕組みになっています。
私も扶養に入っていた時期は、保険料の負担がない分、家計のやりくりがとても楽になりました。
扶養を外れるタイミングと注意点
年収が130万円を超える見込みになった時点で、扶養から外れて自分で社会保険や国民保険に加入する必要があります。
この切り替えを怠ると、後から保険料をさかのぼって請求されることもあります。
とくに年末や年度末は勤務時間が増えやすい時期なので、「年収の見込み」を早めに確認しておくことが大切です。
また、扶養から外れた後は「いつからどの保険に加入するか」を明確にしておくと安心です。
勤務先で社会保険に入るのか、それとも国民健康保険へ切り替えるのかを早めに決めておくと、スムーズに移行できます。
扶養に入るという選択は、家庭の状況や働き方に合わせて柔軟に取れる制度です。
「短時間で働きたい」「家計の負担を減らしたい」という人には特におすすめです。
ただし、収入の変動や勤務先の条件によっては扶養から外れることもあるため、こまめなチェックを心がけておきましょう。
退職後すぐに働かない場合の注意点
退職後、少しの間は「ゆっくり休もう」「次の仕事を考えよう」と思う方も多いですよね。
ただし、働かない期間がある場合は保険と年金の手続きを早めに行うことがとても大切です。
特に健康保険の切り替えを忘れると、思わぬトラブルにつながることがあります。
無保険期間をつくらないことが最優先
会社を退職すると、会社の社会保険は退職日の翌日に自動的に失効します。
つまり、翌日からは何らかの保険に入っていない限り“無保険状態”になるということです。
無保険のまま病院へ行くと、医療費が全額自己負担(10割負担)となり、数万円~数十万円の出費になるケースもあります。
たとえば私の場合、退職して1週間ほどゆっくりしてから手続きに行こうと思っていたのですが、市役所で「その間にケガをしたら全額負担になりますよ」と言われて、慌てて国民健康保険に加入しました。
「まだ何もないから大丈夫」と思わず、退職後はできるだけ早く手続きするのが安心です。
国民健康保険・国民年金への加入手続き
退職後にすぐ働かない場合は、国民健康保険と国民年金に自分で加入します。
手続きは住んでいる市区町村の役所で行い、退職日の翌日から14日以内が目安です。
このとき、健康保険証や離職票、マイナンバーカードなどを持参するとスムーズです。
保険料は前年の所得をもとに計算されるため、退職直後は負担が大きく感じるかもしれません。
しかし、減免制度や免除申請を活用すれば負担を軽くできる場合もあります。
とくに「次の仕事が決まるまでの一時的な期間」であれば、窓口で相談することで柔軟に対応してもらえることもあります。
失業手当を受け取るときの注意点
退職後にハローワークで失業手当を申請する場合、保険の扱いを間違えると給付に影響することがあります。
まず、「会社都合退職」か「自己都合退職」かによって待機期間や給付開始時期が異なるため、申請前に必ず確認しましょう。
また、国民健康保険に切り替えた際には「退職証明書」や「離職票」の提出を求められることがあります。
これがないと、保険料の軽減措置を受けられないこともあるため要注意です。
さらに、「アルバイトをしながら失業手当を受け取りたい」という場合は、必ず事前にハローワークへ相談を。
一定の収入や勤務日数を超えると「就職した」とみなされ、給付停止や返還を求められるケースもあります。
私の知人も、週3日のアルバイトを申告せずに続けていたことで、後から一部返還を求められたそうです。
誤解を避けるためにも、働く予定がある場合は必ず正直に申告しておきましょう。
退職後しばらく休む期間を安心して過ごすために
退職後の手続きは少し面倒ですが、早めに動いておけば後から慌てることはありません。
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国民健康保険と年金の切り替えを早めに済ませる
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失業手当の申請を正確に行う
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アルバイトをする場合はハローワークに相談する
この3つを意識しておくだけで、安心して休養期間を過ごせます。
「何もしていない期間」でも保険と年金の管理は必要――この意識を持つことが、退職後のトラブルを防ぐ一番のポイントです。
まとめ|退職後のアルバイトは“働き方に合った保険選び”を
退職後にアルバイトを始めるときは、「どのくらい働くか」「どれくらい収入を得たいか」といった働き方のスタイルに合わせて、保険をどうするかをセットで考えることが何より大切です。
保険の加入先を間違えると、後から余分な保険料を支払うことになったり、無保険期間ができて医療費を全額負担しなければならなくなるリスクもあります。
たとえば、週20時間以上働くなら勤務先の社会保険に加入できる可能性が高く、長期的に見てもメリットが多いです。
一方で、短時間のアルバイトや扶養内での勤務を考えている場合は、配偶者の扶養に入るほうが家計にやさしいケースもあります。
どちらにも一長一短があるため、まずは自分の収入見込みや家族の保険状況を整理することが第一歩です。
さらに、退職後すぐに働かない期間がある場合は、国民健康保険と国民年金への切り替えを忘れずに。
「あとでまとめてやろう」ではなく、「退職したらすぐ行動する」ことが安心のポイントです。
役所やハローワークで相談すれば、減免制度や給付金のことも丁寧に教えてもらえます。
保険の手続きは一見複雑に思えますが、「どの立場で働くのか」を軸に考えれば自然と答えが見えてきます。
自分の働き方に合った保険を選ぶことで、ムダな支出を防ぎ、家計の安心も守れます。
これから新しい働き方をスタートする方は、まず一度、自分や家族の保険状況を見直してみてください。
保険をきちんと整えることは、“安心して働くための第一歩”です。
仕組みを理解しておけば、退職後の不安もぐっと減り、自分らしいペースで仕事と生活を両立できるようになります。

