「退職を伝えたいけど、上司に言いづらい…」そんな悩みを抱えている方は少なくありません。私もかつて、上司との関係が悪いわけではないのに、どう切り出していいか分からず、何日もタイミングを逃してしまったことがありました。
この記事では、上司に退職を伝えるときに感じる“言いづらさ”を少しでも軽くする方法を、私の体験も交えて紹介します。読んだ後には「もう大丈夫、伝えられる」と思えるようになります。
なぜ上司に退職を言いづらく感じるのか
上司に退職を切り出すとき、胸の中に重たい気持ちが広がるのは、誰にでもある自然な反応です。退職は人生の大きな決断であり、自分だけの問題ではなく、チームや会社にも影響が及ぶため、「迷惑をかけたくない」という思いが強くなります。とくに、長く勤めた職場やお世話になった上司の場合、「感謝しているのに辞めるなんて申し訳ない」と心が揺れてしまうものです。
私もかつて、上司が忙しそうにしている姿を見るたび、「今このタイミングで言うのは悪いかな」とためらっていました。結局、何度も言い出すタイミングを逃し、余計に緊張が増してしまったのを覚えています。
でも今振り返ると、それは「自分の成長を大切に思う気持ち」と「相手への思いやり」がぶつかっていただけなのだと思います。どちらも悪い感情ではありません。
また、日本の職場文化では「和を乱さないこと」や「上司への配慮」が美徳とされる傾向があります。そのため、「辞めたい」と言う行為自体が“裏切り”のように感じてしまう人も少なくありません。けれど、退職は人生をより良くするための前向きな選択です。
「辞める=悪いこと」ではなく、「新しい挑戦を始める勇気」なのだと考え直すことが大切です。
気まずさや罪悪感を完全に消すことは難しいですが、気持ちを整理するだけで、伝えるハードルはぐっと下がります。たとえば、「今の仕事で学べたこと」「上司への感謝の気持ち」を紙に書き出してみると、退職を伝える時にも落ち着いて話せるようになります。退職を「終わり」と捉えるのではなく、「感謝で締めくくる節目」と考えることで、心に余裕が生まれます。
言い出すタイミングの見極め方
退職を伝えるとき、どんな言葉を使うかと同じくらい大切なのが「いつ言うか」です。タイミングを間違えると、上司が慌ただしく対応してしまったり、こちらの真剣な思いが伝わりにくくなってしまうこともあります。反対に、落ち着いた時間を選べば、穏やかに話ができ、上司も冷静に受け止めてくれやすくなります。
上司が落ち着いている時間を狙う
朝の始業前や会議直後、締め切り前など、上司が忙しそうな時間帯は避けましょう。こちらがどんなに誠実に話しても、上司の心に余裕がないと、話が流されてしまうこともあります。
私が実際に退職を伝えたときは、業務が落ち着いた夕方の静かな時間帯を選びました。電話も少なく、周囲の人も減ってくる時間だったので、自然に「少しお話ししたいことがあるのですが」と切り出せました。結果的に、上司も「いいよ、ちょうど落ち着いたところだから」と快く時間を取ってくれ、穏やかに話を進めることができました。
もし上司の予定が読みにくい場合は、あらかじめスケジュールを確認しておくのもおすすめです。カレンダーや共有ツールで会議が少ない時間帯を見つけておくと、話しかけやすくなります。退職の話は数分で終わるものではないため、上司が落ち着いて話を聞ける環境を整えることが大切です。
まずは「お時間をいただけますか」と伝える
「退職したいんですが」といきなり切り出すのは避けましょう。相手を驚かせるだけでなく、上司が構えるような雰囲気になってしまうことがあります。最初は「少しお時間いただけますか?」や「お話ししたいことがあるのですが」といったクッション言葉を添えるだけで、印象がぐっと柔らかくなります。
このひとことを入れることで、上司も「何か大事な話なんだな」と心の準備ができますし、場所や時間を改めてもらえる可能性も高まります。たとえば、廊下で突然伝えるよりも、静かな打ち合わせスペースや応接室などで話すほうが、誠実さが伝わります。
「伝える前の一言」で、相手の受け取り方が大きく変わるということを覚えておくと安心です。
また、「今よろしいですか?」と確認して断られた場合でも気にする必要はありません。その場合は「では、改めて時間をいただけると助かります」と伝えれば十分です。焦らず、落ち着いたタイミングを待つ姿勢が、上司に対しても誠実な印象を与えます。
伝えるときの言葉選び
退職を伝えるときに最も大切なのは、「どんな理由で辞めるか」よりも、「どんな気持ちで伝えるか」です。伝え方次第で、上司の受け取り方がまったく変わります。感情的になったり、ストレートに不満をぶつけたりすると、せっかくの努力が台無しになってしまうことも。逆に、落ち着いた口調で感謝を添えれば、印象はぐっと穏やかになります。
退職理由が人間関係や待遇など、言いにくい内容だったとしても、正直に伝える必要はありません。私自身も、以前の職場で上司に退職を伝える際、「環境が合わない」「もう限界」といった本音はぐっと飲み込みました。その代わりに、「家庭との両立を考えて」「新しい分野にも挑戦したいと思いまして」と、前向きな言葉に言い換えました。
ポイントは、ネガティブな理由を“前向きな理由”に変換して伝えること。
たとえば次のような言い換えができます。
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「残業が多くて体がきつい」→「今後の健康や生活バランスを考えて決断しました」
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「上司とうまくいかない」→「これまでの経験を活かして、違う環境にも挑戦してみたいです」
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「給料が安い」→「より自分のスキルを高められる環境を探してみたいと考えました」
どんな場合でも、「これまでお世話になったことへの感謝」を添えることが大切です。感謝の言葉は、相手への敬意を表すだけでなく、自分自身の区切りにもなります。たとえ短い一文でも、誠実さが伝わるものです。
感謝を伝えるときの一言を添える
「突然で申し訳ありませんが、今後の生活や家庭のことを考え、退職を決意いたしました。これまで本当にお世話になりました。」
このように、最初に「申し訳ありません」と一言入れるだけで、相手への配慮が伝わります。そして「お世話になりました」と続けることで、関係を穏やかに締めくくることができます。
私もこの言葉を使ったとき、上司が少し驚いた表情をしながらも、「そうか、頑張ってたもんな」と温かく受け止めてくれました。感謝の気持ちは言葉以上に伝わるものだと実感しました。
退職を伝える瞬間は緊張しますが、「感謝」と「前向きさ」さえ忘れなければ、誠実な印象を残すことができます。
それが、円満な退職への第一歩です。
言いづらいときの工夫と心構え
退職を伝えようと思っても、「どんな風に言えばいいのか分からない」「話すと感情があふれてしまいそう」と感じる人は多いものです。特に真面目で責任感の強い人ほど、うまく伝えようとするあまり緊張してしまいます。そんなときは、いきなり完璧に話そうとせず、準備と心の整理をすることから始めましょう。
メモやメールで整理しておく
口頭で話すのが苦手な人は、あらかじめメモにまとめておくのがおすすめです。伝える順番を整理しておくだけで、焦らず落ち着いて話すことができます。私も実際に、ノートに「伝えたいことリスト」を書いておいたおかげで、頭が真っ白にならずに済みました。
メモには、以下のような項目を書き出しておくと整理しやすいです。
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退職したい時期
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退職理由(簡潔で前向きな内容)
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感謝の言葉
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引き継ぎの意思や協力姿勢
こうしてポイントを整理しておくことで、自分の中の「本当の理由」や「伝えたい気持ち」が明確になります。緊張してうまく言葉が出ないときは、最初に「緊張してしまって、うまく話せないかもしれません」と素直に伝えてしまって構いません。上司も人間です。誠実な姿勢を見せれば、きっと理解してくれます。
準備は「逃げ」ではなく、「誠実に伝えるための下準備」です。
もしどうしても口頭で伝えるのが難しい場合は、まずはメールで「お話ししたいことがあります」とアポイントを取る形でもOKです。その段階で退職理由をすべて書く必要はありません。あくまで「話すためのきっかけ」を作るつもりで、ハードルを下げてみましょう。
家族や同僚に相談して心を整える
退職を考えている時期は、気持ちが不安定になりやすいものです。「本当にこれでいいのかな」「上司にどう思われるかな」と悩むこともあるでしょう。そんなときは、一人で抱え込まずに家族や信頼できる人に話してみてください。
私も退職を決めたとき、夫に「もう少し頑張ろうか」と相談しましたが、彼は「言わなきゃ始まらないよ」と穏やかに背中を押してくれました。その言葉に救われて、翌日には上司に話す決心がつきました。
誰かに話すことで、自分の気持ちを客観的に整理できますし、「自分の選択を応援してくれる人がいる」という安心感も得られます。また、同僚に相談する場合は、退職を公にする前に信頼できる人だけに留めることも大切です。職場での噂を避けるためにも、慎重に伝える相手を選びましょう。
準備と心構えを整えることで、「言いづらい」が「伝えられる」に変わっていくのです。
退職を伝えた後に意識したいこと
退職を伝えたあとは、ホッとする気持ちと同時に、「これからどう動けばいいのだろう」という不安も出てきます。ここからの行動次第で、あなたの印象が大きく変わります。円満に退職するためには、伝えたあとこそ丁寧な対応を意識することが大切です。
引き継ぎを丁寧に行う
退職後にトラブルが起きやすいのが、引き継ぎが不十分なケースです。上司や後任に「この人が抜けても困らない」と思ってもらえるよう、できるだけ早めに引き継ぎ準備を始めましょう。
私は、自分が担当していた業務をリスト化し、進行中の案件や注意点をExcelでまとめて渡しました。細かい作業手順や取引先との連絡履歴も一緒に整理しておくと、後任がスムーズに仕事を引き継げます。
「次の人が困らないようにする」ことが、あなたにとっての最後の責任です。
また、引き継ぎ資料を作るときは、「ここまでは完了」「ここからは対応中」など、進行状況を明確にしておくと親切です。口頭だけでは漏れが出やすいので、データで残す形にしておくと安心です。
スケジュール調整を前向きに
退職が決まると、上司や同僚との間でスケジュール調整が発生します。引き継ぎや残務処理のほか、最終出勤日や有給消化の相談など、決めることが多くなります。ここで注意したいのは、「自分の都合を押し通さないこと」です。
私も退職時、有給の使い方について上司と相談しましたが、「〇日までに引き継ぎを終えたい」「できる限り迷惑をかけたくない」という気持ちを伝えることで、スムーズに了承してもらえました。
スケジュールの話し合いは、誠実さが伝わるチャンスです。柔軟に対応することで、最後まで良好な関係を保つことができます。
最後の印象を大切にする
退職の本当の評価は、去るときの姿で決まります。途中で気が緩んでしまうと、「もう辞める人だから」と思われてしまうことも。どんなに小さな仕事でも、最後まで責任を持って取り組む姿勢が大切です。
私は「最後まできちんと終えること」を自分なりのけじめと決め、メールのテンプレートや資料なども整えてから退職しました。その姿勢を見て、上司から「最後まで丁寧だったね」と言われたことは、今でも心に残っています。
去り際がきれいだと、あなたの名前は“信頼できる人”として記憶に残ります。
退職は終わりではなく、新しいステージへの出発です。どんな職場でも、誠実な姿勢で締めくくれば、次の環境でもきっと良いスタートが切れるはずです。
まとめ|言いづらさは「誠実に伝えたい気持ち」の裏返し
上司に退職を伝えるとき、「どう言えばいいんだろう」「嫌な印象を与えたくない」と悩むのは、誰にでもあることです。実はその“言いづらさ”こそ、あなたが仕事を真剣に頑張ってきた証拠でもあります。いい加減な気持ちで働いてきた人は、そもそもこんなに悩みません。つまり、退職を言い出せないほど迷うのは、それだけ周りへの思いやりや責任感があるということです。
私もかつて、上司に退職を伝えるまでに何週間も悩みました。「今言ったら忙しい時期に迷惑かもしれない」「せっかく育ててもらったのに」と頭の中で何度も葛藤しました。それでも勇気を出して伝えたとき、上司は思っていたよりも穏やかに「分かった。次の道でも頑張れ」と言ってくれました。あの瞬間、肩の力がスッと抜けたのを覚えています。
「伝える勇気」は、あなた自身を前に進める大切な一歩です。
退職は終わりではなく、新しいスタートです。これまでの経験や人間関係は、次の職場でもきっと活かされます。大切なのは、どんな別れ方をするか。感謝の気持ちを持ち、誠実な態度で伝えることで、上司や同僚との関係をきれいに締めくくることができます。
言いづらい気持ちは消えなくても、準備と覚悟があれば大丈夫です。退職の一言を伝えた先には、これまで想像していなかった新しい世界が待っています。
どうか、自分を責めずに、「次の自分のために踏み出す勇気」を大切にしてください。
あなたの未来は、ほんの一言の“勇気”から始まります。

