退職するときに必ず受け取ることになる「源泉徴収票」。私も最初の退職のとき、「どこでもらえるの?」「何に使うの?」と不安でいっぱいでした。子どもの保育園の手続きや年末調整に必要と知って焦った経験もあります。
この記事では、退職時の源泉徴収票のもらい方から実際の使い道まで、私自身の体験を交えて詳しくまとめました。読んだ後には、「どうやって手に入れて、どう活用すればいいのか」がスッキリわかるはずです。
源泉徴収票とは?退職時になぜ必要なのか
退職のときに必ず話題になる源泉徴収票。普段はあまり意識しませんが、実は家庭の生活や将来の手続きに直結する、とても大切な書類です。ここではまず、その役割や退職時に重要になる理由を整理しておきます。
源泉徴収票の基本的な役割
源泉徴収票とは、1年間にどれくらい給与を受け取り、そのうちどのくらいの所得税が天引きされて納められたかを証明する公式の書類です。会社は給与を支払うたびに所得税を源泉徴収して税務署に納付しますが、その記録をまとめたものが源泉徴収票になります。
この書類には「支払金額」「所得控除の内容」「源泉徴収税額」といった細かい数字が記載されており、税務署だけでなく、私たちが次の年の税金や控除を正しく計算するための根拠資料になります。言い換えると、源泉徴収票は「あなたの1年間の給与と税金の成績表」なのです。
退職時に特に大切な理由
在職中は年末調整を会社が代わりにしてくれるので、源泉徴収票を意識することは少ないかもしれません。私も最初は「会社が全部やってくれるから大丈夫」と思っていました。しかし、退職すると状況は一変します。
たとえば、退職して年の途中で転職した場合、新しい勤務先に前職の源泉徴収票を提出しなければ、正確な年末調整ができません。提出を忘れると、本来受けられるはずの控除が適用されなかったり、逆に税金を余分に納めることになってしまうことがあります。
さらに、退職後にしばらく無職で過ごす場合も、確定申告で医療費控除やふるさと納税の還付を受けるために源泉徴収票が必須になります。私自身も退職後に子どもの医療費が多くかかった年があり、「源泉徴収票がないと申告できない」と知って慌てて会社に依頼した経験があります。
源泉徴収票のもらい方|退職時の流れ
退職を迎えるとき、多くの人が気になるのが「源泉徴収票はどうやって受け取れるのか」という点です。手続きの流れを知っておけば、余計な不安を抱かずに済みますし、後々の手続きもスムーズになります。ここでは実際の流れを、ケースごとに詳しく解説します。
退職日に直接もらえるケース
一部の会社では、退職日までに源泉徴収票の準備が整い、その日に直接手渡されることがあります。最終出勤日に「これが今年分の源泉徴収票です」と封筒を渡されると、その場で受け取れるので安心です。私も以前の職場では、退職の挨拶を終えたタイミングで手渡され、「ああ、これで一区切りついたんだ」と実感しました。
ただし、給与締めのタイミングや事務処理の都合によっては、退職日にはまだ発行できないことも多いため、必ずしもこのケースになるとは限りません。
後日郵送されるケース
最も一般的なのが、給与の締め日を過ぎてから会社が発行し、自宅に郵送するケースです。退職日の翌月や翌々月に届くこともあり、私の場合は退職日から2週間ほどでポストに届きました。
このとき注意したいのは、送付先の住所をきちんと確認しておくことです。引越しの予定がある場合や、すでに住所が変わっている場合は、事前に総務担当へ新しい住所を伝えておく必要があります。もし古い住所に送られてしまうと、受け取りに時間がかかったり、場合によっては返送されてしまうこともあるからです。
会社に依頼する必要がある場合
会社によっては「必要になったら依頼してください」というスタンスを取っているところもあります。特に小規模な会社や個人事業に近い形態の職場では、従業員が請求して初めて交付されるケースも珍しくありません。
私の知人は退職後しばらくしても届かず、問い合わせをしたところ「言われないと送らない仕組みになっている」と言われて驚いていました。このように、1か月以上経っても届かない場合は放置せず、必ず総務や人事へ問い合わせて確認することが大切です。
受け取り方法を確認しておく安心感
退職の手続きは、健康保険や雇用保険、離職票など複数の書類が絡むため、源泉徴収票のことをつい後回しにしがちです。しかし、新しい会社での年末調整や確定申告に欠かせない書類なので、もらい忘れると後で大変になります。
源泉徴収票が必要になる場面
受け取った源泉徴収票は「ただ保管しておけばいい紙」ではなく、生活のさまざまな場面で役立ちます。むしろ、必要なときに手元になければ大きな不便につながることもあります。ここでは、実際にどんなときに源泉徴収票が必要になるのかを具体的に見ていきましょう。
新しい会社での年末調整
退職後に転職した場合、前職分の源泉徴収票を新しい勤務先に提出する必要があります。これは、1年間の所得や納めた税金を正しく合算するためです。もし提出を忘れてしまうと、前職と現職それぞれで年末調整が行われてしまい、税金が二重に引かれてしまう可能性があります。
私も転職したとき、夫から「前の会社の書類揃ってる?」と聞かれて、慌てて探したことがありました。うっかり提出が遅れると、最終的に確定申告で調整しなければならず、余計な手間がかかります。「転職=源泉徴収票を必ず提出」と覚えておくのが安心です。
確定申告をするとき
医療費控除やふるさと納税などを行う際、確定申告で源泉徴収票の提出が必要になります。これは、どのくらいの収入があり、どれだけ税金を納めているのかを証明するためです。
私自身もふるさと納税の還付申請をしたときに、「この紙がないと始まらないんだ!」と痛感しました。特に共働き家庭では、夫婦どちらも確定申告をする場面が出てきます。必要になる時期は毎年同じなので、毎年2月〜3月に慌てないように、きちんと保管しておくことが大切です。
子育てや保育園の手続き
意外と見落としがちなのが、子育てに関わる行政手続きです。保育園の入園申請や児童手当の更新、ひとり親家庭の支援制度などでは、収入証明として源泉徴収票の提出を求められることがあります。
我が家でも保育園の入園申請の際に夫婦それぞれの源泉徴収票が必要になり、「どちらかが揃っていないと手続きできません」と役所で言われました。共働き家庭の場合、夫婦分をセットで求められるケースが多いため、「夫婦で揃って提出」が鉄則です。
住宅ローンやその他の手続き
さらに、住宅ローンを組む際や奨学金の返還猶予申請など、金融機関や教育関連の手続きでも源泉徴収票が収入証明として使われることがあります。とくに子育て世帯は将来の教育費や住宅購入を考える時期でもあるので、役所や金融機関に提出を求められる場面は意外と多いのです。
もらえなかったときの対処法
「届かない」「失くしてしまった」——そんなときこそ落ち着いて、順番に対応すれば大丈夫です。私も一度、転職の提出期限が迫って焦ったことがありましたが、段取りさえ分かっていれば巻き戻せます。ここでは、私が実際にやって効果があった手順と、役所・税務署に相談するルートまでまとめます。
会社に再発行を依頼する
まずは前職の総務・人事・経理のいずれかに連絡します。電話が早いですが、証拠が残るメールや書面でも必ず残しておくのが安心です。依頼時は「必要理由・期限・受け取り方法」を明確に伝えると、社内処理が進みやすくなります。
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伝える内容の目安:氏名/在籍期間・退職日/生年月日(本人確認)/送付先住所・電話/希望する受取方法(郵送・PDF不可なら紙など)/提出期限(転職先の年末調整や保育園申請の締切)
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依頼メール例(要約):「転職先の年末調整で〇月〇日までに必要です。源泉徴収票のご交付(再発行)をお願いいたします。郵送先は下記の住所で、追跡可能な方法だと助かります」
私のときは、期限をはっきり伝えたら優先度を上げてくれて、数日で届きました。連絡から3〜5営業日たっても返答がない場合は、同じ文面で「確認のお願い」を送ると進みが早いです。
連絡がつかない・発行を渋られるとき
倒産や担当不在で連絡がつかない場合、または明らかに交付を引き延ばされている場合は、所轄の税務署に相談できます。税務署には「源泉徴収票不交付の届出」という仕組みがあり、状況を伝えると会社への指導や案内をしてもらえます。「会社が交付しないから諦める」は選択肢ではありません。
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税務署へ伝える要点:会社名・所在地/退職日/連絡した履歴(メール日付・電話日時)/必要な理由と期限
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市役所で代替資料が使える場面も:保育園申請や児童手当の手続きでは、当面の代替として「課税(所得)証明書」が認められることがあります。窓口で事情を話し、提出期限を守れる形を相談しましょう(後日、源泉徴収票で差し替え)。
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転職先には事情を共有:年末調整に間に合わない場合は、確定申告で精算する手があります。期限や手順を人事に先に伝えておくと、社内の理解が得られます。
確定申告の期限が迫っているときの応急対応
医療費控除やふるさと納税の還付申告など、申告期限が近いのに源泉徴収票が間に合わないこともあります。そんなときは「まず税務署に相談」し、提出方法や期限延長の可否、代替の扱いを確認します。期限内に“相談の事実”を残すことが、後日のトラブル回避につながるからです。
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できる準備:給与明細・離職票・雇用保険の書類・源泉徴収票の写し(あれば)をまとめ、収入と天引き税額の状況を整理
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e-Tax利用時の注意:オンライン申告では原本の添付が省略されるケースもありますが、記載情報の根拠として源泉徴収票は保管必須。数値の入力元としても必要なので、再発行の依頼は並行して続けます。
紛失した場合のポイントと保管ルール
一度受け取ったのに見当たらないときも、前職に再発行をお願いできます(内容は原本と同一)。再発行分で手続き上の効力は変わりません。次回からは「保管ルール」を家族で共有しておくと、慌てずに済みます。
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私の家のルール:郵便受けから出したらすぐに「税金・年金」ファイルへ。スキャンしてクラウドに保存(紙の原本も保管)。年明けに夫婦で“必要書類チェック日”を作る。
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郵送で受け取るときは簡易書留や追跡ありを希望。宛先は転居後の新住所に必ず更新。
家族で共有しておきたいポイント
源泉徴収票は「税金の書類」という枠を超えて、保育園の申請や住宅ローン、共働きの年末調整など、家族の生活に直結します。私の家で実践している方法や、つまずきやすいポイントをまとめました。
夫婦での情報共有
「あなたの分、来週までに役所へ提出だよ」と声を掛け合うだけで、提出忘れのリスクはぐっと下がります。我が家では毎年1〜3月と11〜12月に“5分ミーティング”をダイニングで実施。私は「必要書類リスト」を読み上げ、夫はスマホでカレンダー登録。子どもが横で折り紙をしている、そんな日常の延長で進めます。
具体的には、以下の“共有セット”を作っておくと安心です。
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今年必要な提出先と締切(会社・役所・保育園など)
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夫婦それぞれの担当(原本管理/スキャン・コピー/提出役)
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連絡先(人事・総務、役所窓口、金融機関)
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進捗の見える化(Googleカレンダーや家の壁カレンダーにチェック)
提出期限は家族の予定と同じレベルでカレンダーに入れると、優先順位が自然に上がります。
会話の型も決めておくとスムーズです。
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私「今週の書類は“源泉徴収票と保育園の申請”。私は原本管理、あなたはスキャンと提出、でいい?」
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夫「了解。提出先は〇〇課、締切は金曜。夕方に寄るね」
保管場所を決めておく
子どもが小さいと書類が行方不明になりがち。迷子を防ぐには、家の中に“固定の駐車場”を用意するイメージです。
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置き場所は1カ所だけ:リビングの棚に「税金・年金」クリアファイルを常設
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ラベルは西暦で分ける:「2025_税金」「2025_提出済み控え」
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原本と提出用を分離:原本は抜かない、提出はコピーかスキャンから印刷
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受け取ったら即格納:ポスト→テーブル→そのまま格納の“直行ルート”を家族で共有
原本は1カ所固定が鉄則。動線をシンプルにすると、誰が受け取っても迷いません。
デジタル保管のコツ(スキャン運用)
紙だけに頼らないと、提出のたびに慌てません。スマホのスキャン機能で十分。
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ファイル名のルール:「2025_源泉徴収票_氏名.pdf」で揃える
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保存先は共有:夫婦で見られるクラウドに「税金_年度別」フォルダを作成
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撮影のコツ:影を避け、角度は真上、四隅が入っているか最後に確認
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バックアップ日を決める:月末に“家計データ同期日”を設定
デジタルは“探す時間をゼロにする保険”だと割り切ると、続けやすくなります。
役割分担と“もしも”の備え
忙しい時期ほど分担が効きます。
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私:原本受け取り・保管、提出書類のチェック
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夫:スキャン・ファイル名統一、窓口提出や投函
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予備プラン:どちらかが体調不良のときは“家族LINEに手順テンプレ”を貼っておく
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提出前日の最終確認:カレンダーの通知+冷蔵庫のチェックリストでダブルアラート
“誰でも代われる状態”を平時に作ると、急な発熱や出張でも崩れません。
よくあるミスと防止策
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締切を見落とす → 家族カレンダーに「1週間前・2日前・当日」の3段階通知
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原本を提出してしまう → “提出は必ずコピー”の赤付箋をファイルの先頭に常設
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引越しで郵送が迷子 → 退職手続き時に新住所を必ず人事へ。郵送は追跡付きを希望
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紛失の不安 → スキャン後に紙の原本も保管。年度末に“中身の棚卸し”を5分で実施
迷ったら“まずスキャン、次に原本を固定位置へ”の二段構えでほぼ防げます。
まとめ|退職時は源泉徴収票を必ず受け取り、賢く活用しよう
退職するときに受け取る源泉徴収票は、新しい職場での年末調整や確定申告、子育て世帯にとって重要な役所手続きに欠かせない書類です。退職日にもらえなかった場合も、会社に請求すれば必ず発行してもらえます。家庭生活に直結するからこそ、夫婦で情報を共有し、きちんと保管しておくことが安心につながります。まずは「必ず受け取る・すぐ確認する」を習慣にして、退職後の手続きをスムーズに進めましょう。